ダイナミックプライシングの導入

航空チケットやホテルなどでは当たり前になっていて、エンタメ業界でも注目されているダイナミックプライシングを知財業務でも導入したら、インセンティブが働き、年間を通して一定の仕事量になり、利益率が向上する可能性があります。

ダイナミックプライシングとは?

簡単に言うとそのときの需要に応じて価格が変動するシステムです。一般的な例で言うと、航空チケットですね。需要が多いお盆や年末は料金が上がり、また一般的に予約が搭乗日に近ければ近いほど料金が上がっていきます。逆に、コロナ禍の今は、需要が極端に減っているので、航空チケットが安くなっています。

このように需要と供給のバランスが時期によって変わる業種では、需要が低い時に稼働率を維持する為の割引を行い、需要が高い時にはプレミアムをチャージして多くの利益を確保するためにダイナミックプライシングが導入されているところが多いです。

特許出願でも繁忙期がある

知財業務でも特許出願で見ると繁忙期がありますね。大体の事務所さんは、クライアントが年度末までに出願数を増やしたいということで、1月から3月ごろまでは忙しくなるのではないでしょうか?逆にそれ以外の時期は急ぎの仕事があったとしても、年末の集中時期に比べると件数的にも、時間的なプレッシャーも少ないと思います。

このように、多くの事務所の主力業務である特許出願の需要に波があるのに、繁忙期でも平常時でも同じ料金で対応しているところがほとんどではないでしょうか?

リソース活用の効率化と利益率の改善

しかし、特許事務所にとって、繁忙期を乗り越えるだけの体制を作っておくには多くのコストがかかってます。特許明細書を作るのは弁理士さんなので需要にあった弁理士さんを社内に持っていないといけません。しかし、繁忙期の需要に合わせて人を雇うと、その他の時期に人材を十分活用できないため、オーバーヘッドコストが上がります。逆に、平時の需要に合わせて人数を用意すると、繁忙期に従業員にかなり無理をさせることになり、所内のモラルや職場環境が悪化する恐れがあります。

しかし、ダイナミックプライシングを導入すると、顧客にとって繁忙期以外の時期は割安で仕事を依頼できるため、平常時に明細書作成を依頼するインセンティブが働きます。そうすることによって、繁忙期と平常時の需要の差を緩和できるため、より社内のリソースを効率良く活用することができます。

さらに、繁忙期に依頼があれば堂々とプレミアムをチャージできます。そのプレミアムの一部を作業にあたる弁理士に臨時ボーナスとして支給することもできるでしょう。そうすれば、繁忙期に忙しい日々が続いても、労力に応じたインセンティブを従業員に支払えるため、社内のモラルにもいい影響をおよぼします。

このように、ダイナミックプライシングを導入することで、平時のリソースの効率化と繁忙期の利益率の向上が達成できるので、年間を通して見ても利益率は向上するはずです。

ダイナミックプライシングの導入は簡単

過去の売り上げや仕事量を見れば、どの時期が繁忙期でどの時期が平常時かがわかると思います。そのような過去のデータから、適切な値段設定を行えばダイナミックプライシングの枠組みは完成です。

あとは、顧客への連絡ですが、平常時により低価格で明細書作成をしてもらえるという利点を十分説明できれば、理解を示してもらえるはずです。そもそも年度末に起こる繁忙期というのは「予算」という人工的な要素が起因として起こっている現象なので、顧客企業の知財担当者の意識次第である程度はコントロールできる部分です。

ダイナミックプライシング導入で彼らの認識が変わり、出願費用管理の一貫として社内で需要管理をしてもらえれば、事務所としても助かるはずです。

より動的なダイナミックプライシングの導入

過去のデータから年度末の3ヶ月間が繁忙期という静的なダイナミックプライシングを導入してもいいですが、このコンセプトは、リアルタイムで変わる動的なダイナミックプライシングへの応用も可能です。

例えば、今の事務所の仕事量のキャパシティを可視化できるツールを導入し、クライアントにもリアルタイムでキャパシティがわかるようにします。そうすると、新規の案件依頼の時に、キャパシティに応じて料金を変動することもできます。

また急ぎの仕事であれば、優先順位を上げるためのプレミアムをダイナミックに計算して提示することも可能です。

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