実案件から学ぶコンテンツ

OLCでは厳選されたアメリカ知財情報をブログ形式でお伝えしていますが、ネタが尽きない継続して書ける別のコンテンツはないものかとよく考えるようになりました。まだ、頭で考えている段階ですが、「実案件から学ぶコンテンツ」と題して、今考えていることをシェアーします。

ほとんどのコンテンツは上位概念化されている

OLCの記事もそうですが、知財系のコンテンツを見ると判例の解説だったり、手続きのコツなど実際の案件の詳細よりも上位概念やコンセプトが強調された内容になっています。これはこれで役割を果たしているのですが、書かれている「結果」に至るまでには多くのプロセスを経ているにも関わらず、それが大幅に省略されて説明されています。

しかし、実務ではその「プロセス」に関わる部分を行うのが私達の仕事です。学んだ上位概念を個別案件に適用して、日々いい仕事をしていくのは大切な訓練です。しかし、実際に他の人が使った表現なりロジックと言ったマイクロレベルの細々した「プロセス」の中身について語るコンテンツがあってもいいのではないかと思いました。

実案件の例はたくさんある

ニーズはある程度見込めるとなると、次に考えるのは「ネタ」の数と入手経路です。

幸い知財関係は公開情報が多いので、実際の案件を例にしたコンテンツは作りたい放題です。例えば、特許明細書は出願から18ヶ月後には公開されるし、審査履歴もUSPTOのPublic Pairで参照可能です。それだけでなく、拒絶査定不服審判(Appeal)、IPRの手続き特許訴訟も閲覧可能です。

つまり、公開されている実際の案件に関わる様々な書類にアクセスできるので、実案件を例にしたコンテンツを作り続けることは、少なくとも「ネタ」の数と入手経路の豊富さという点から見たら問題ありません。

僕がやるならどんなコンテンツを作るか

このようにネタに困らずに継続してコンテンツを量産できそうですが、続けていくならある程度の自分なりのスタイルがあったほうがいいですよね。その方が作る方もやりやすいし、読み手も受け入れやすいです。

一番王道なのは、どこかの有名企業の特許を見て、その明細書内に書かれている表現に注目して解説するとか、あとはもう少し踏み込んで、実際にPublic Pairから審査履歴を参照して、審査官を納得させた「決めゼリフ」みたいなものに注目するのもいいですよね。

あと個人的には、特許訴訟やIPRに注目しても面白いかなと思ってます。日本にいても、アメリカの出願関係は結構やるので「慣れている」人が多いと思いますが、IPRや訴訟に「慣れている」知財関係者は少ないと思います。

そんな中で、アメリカで特許訴訟に巻き込まれたり、IPRで相手特許を潰さないといけないとなったときに、書類を「見慣れてない」と現地代理人のアドバイスを鵜呑みにしたり、手続きに関する書面のレビューを頼まれても効果的なフィードバックが行えないという状況になるかもしれません。

と言っても、実際の訴訟を経験することはなかなかできないので、勉強する機会がない。それによって、本来なら特許訴訟を起こすべきだったり、早急にIPRで問題特許を潰すべきなのに、「知らない」訴訟やIPRをなるべく遠ざけるような行動をとってしまうかもしれません。

そこで、実際の書類を紹介しながら、特許訴訟の流れやIPRのポイントを解説するコンテンツで勉強してもらうのはいいかもしれません。

実際に使われた書類を見たり解説しているコンテンツを読んだりすることで、少なくとも実務レベルの「知識」を多少得ることができます。そうすれば、ちょっとは「慣れて」、実際に訴訟やIPRを行うときにより効果的に行動できるようになるのではないでしょうか?

例えば、実際のIPRの申立書の目次だけ見ても、申立書はどのように構成されるべきか、重要な点はどこにあるのか、などを学ぶいいネタになります。

まとめ

いろいろと書きましたが、実際の案件で使われた書面を見ながら学ぶという「実務レベル」のコンテンツはありかなと思っています。まだ方向性や表現方法は決まっていませんが、OLCの新たなコンテンツになるように深堀りしていきたいと思います。

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