ハイライト
PTABの手続きにおいて、同じ特許権者で、同じ用語が同じように明細書とクレームで使われている場合、collateral estoppelという考え方により新しい用語の解釈は行わず、以前に行われた用語解釈が適用される可能性があります。
Collateral estoppelが適用された判例
2018年3月 Nestlé USA, Inc. v. Steuben Foods, Inc., 2017-1193 (Fed. Cir. Mar. 13, 2018)において、CAFCは、過去のPTAB手続きにおいてすでに解決した問題に対して、collateral estoppelが適用され、解決された問題に対して議論を再開させないことがあることを述べました。
今回、CAFCで問題になった点は、異なる手続きでCAFCが解釈した用語に対して、PTABが違った解釈をできるかというものです。
ここで問題になった用語“aseptic”は、一年前の訴訟でも問題になっており、その際CAFCでは“aseptic” を “FDA level of aseptic” と解釈しました。Nestlé USA, Inc. v. Steuben Foods, Inc., 2016-1750 (Fed. Cir. May 9, 2017).
前回のCAFCにおける解釈を受け、CAFCは、今回の案件にcollateral estoppelが適用されるとしました。CAFCは、用語が今回の対象特許でも同じように使われていること、 さらに、前回と今回は異なる特許だが、用語の定義が同一だったことと、特許権者が同じだったことを重視し、特許権者の Steuben Foods が前回の手続きで十分に問題用語の定義について主張できる機会が与えたれていたことを考慮しました。
今回は同じ用語が焦点になりまいたが、CAFCは、collateral estoppelが適用されるには、必ずしも同じ用語である必要はないと強調しました。そうではなく、法廷で争われた問題の固有性によってcollateral estoppelが適用されるべきかが決まるとしました。
最後に
この事件は、同じ問題が同じ基準の元ですでに解決されている場合、collateral estoppelが適用され、PTABは以前の決定に従わなければいけないことを示唆しています。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Rich Graham. Jones Day