今のところ、発明に人間が著しく関与していれば、AIが関与した発明でも特許として成立しそうだ。しかし、人間がまったく関与しない場合、AIが発明したものは特許で守れない可能性がある。
アメリカ著作権局は、著作権法の下、「著作者としての作品は人間が作り出さなければいけない」(“a work of ‘authorship’ … must be created by a human being”)という考え方なので、純粋なAIによる作品は著作権で守れない。
しかし、アメリカ特許庁からはそのような明確な考え方は示されていない。最高裁の判例を見てみると、発明者となるには、「知的な活動」(“a mental act”)が必要なので、企業等が発明者になることはできないという判決があった。しかし、AIが進歩することにより、コンピューターの情報処理が「知的な活動」(“a mental act”)と同等だと考えられるようになった場合、このような判例からAIによる発明を差別化できるかもしれない。
また、特許法でも、発明者は発明を生み出した、または、発明を見つけた個人(“the individual … who invented or discovered the subject matter of the invention”)となっているが、個人(“individual”)は制約のない形(open-ended term)で定義されており、AIも個人(“individual”)として扱われる可能性も秘めている。
アメリカの特許・発明のルーツは発明者にあるので、正しい発明者を特定することはとても大切なことだ。しかし、AIが発明者にならなければ、AIが関わる発明に、人間が著しく関与していなければいけない。
AIが人間の指示を受けずにアニメの映画を作成したり、特定の分野における作業を担ったりと、AIの活躍が著しいなか、一部の専門家からは、法律を見直し、AIも発明者になれるようにするべきだという意見もある。
現在の法律では、発明に人間が著しく関与しなければ、特許として発明を守れない。しかし、技術が進歩していく中、AIが創造するものに対する保護に関する法整備が必要だ。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Jack S. Barufka and Ngai Zhang. Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP
https://www.socialgameslaw.com/2018/01/artificial-intelligence-patent.html#page=1