米国特許商標庁は2020年4月27日、現行法の下では、自然人のみが特許出願において発明者として名乗ることができるという決定を公表しました。
同庁の決定は、DABUSと呼ばれる機械を発明者として記載した出願を却下したことに由来しています。この決定は、USPTOウェブサイトの人工知能のページと特許庁長官による最終決定のページで見ることができます。
解説
DABUSの件については、以前OLCでも紹介しましたが、USPTOの判断は現状の特許法ではAIが発明者になれないという結果になりましたね。
今回の特許庁の決定は、現行法の解釈によるものです。そもそも現行法ができたとき(最近で最も大きな特許法の改正があったのはAIAで施行は段階的に2011年から2013年まで)はAIが発明者になることは想定していないので、想定内の結果だと思います。
しかし、USPTOが人工知能のページを設けているように、AIに関するポリシー作りには積極的で、テクノロジーもAIの分野が今後大きく成長することが予測されるので、このまま放置されることは考えにくいです。
そうではなく、近い将来、議会による新しい特許法の改正をする動きが活発になってくると思います。特に、政府としては、AIの分野で中国との競争が激化しているので、知財周りの整備をなるべく早くしたいという思惑があるはずです。しかし、発明者の定義を変えるような改革は結構大がかりな法改正になりそうなので、そう簡単に議会を通らないというジレンマも。 どうなるかはまだわかりませんが、動きが出てきたらOLCでも取り上げていきたいと思います。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: USPTO (元記事を見る)