追記:
2019年8月27日USPTOが公にAI特許についての意見を求め始めました。特許庁から提示された質問には以下のようなものが含まれています。
- Do current patent laws and regulations regarding inventorship need to be revised to take into account inventions where an entity or entities other than a natural person contributed to the conception of an AI invention or any other invention?
- Are there any patent eligibility considerations unique to AI inventions?
- Does AI impact the level of a person of ordinary skill in the art?
詳細:Request for Comments on Patenting Artificial Intelligence Inventions
現在、DABUS というAIが「発明」した特許出願がThe United States Patent Office (USPTO), European Patent Office (EPO), United Kingdom Intellectual Property Office (UKIPO)で審査されています。AI関連の発明は多く出願されていますが、現在、発明者がAIそのものであるケースはこのDABUSだけです。
DABUSは発想するAI
このDABUSというAIはStephen Thaler氏が開発したもので、人間の介入なしでアイデアを発想することができます。今回、話題に上がった発明は2つあり、その両方ともDABUSが単独で創ったものだったので、DABUSが発明者として出願されました。
米国特許法における「発明者」の定義
America Invents Act (AIA), 35 U.S.C. § 100において、発明者 (inventor) は、 “the individual or, if a joint invention, the individuals collectively who invented or discovered the subject matter of the invention” (強調を追加) と定義されています。
AIの発明を擁護する派の考えでは、AIAにおける ”individuals”という用語は広く解釈されるべきであり、AIを発明者としてあつかうことを除外するものではないという解釈です。また、AI擁護派は、AIへの発明権を認めないと、今後のAI開発の抑制し発明の後れが懸念されると指摘しています。
その一方、AIへの発明権を認めること自体が、AIの開発そのものを抑制するという意見もあります。
AI発明の課題は多い
また、AIが発明したとして、どのような権利がAIにあるのか?また、そもそも発明者がAIなどの人間以外だった場合、非人間の発明者に特許権が与えられることを法律が認めるのか?など特許法の基礎概念に関わる問題も課題としてあります。
特許出願は現在非公開
DABUS特許は審査中で、残念ながら、現在公開されていないので、実際にどのような明細書なのか見ることはできません。
まとめ
このDABUS特許はAIを発明者として出願された最初の出願です。この出願に対してどう3つの特許庁が対応するのか今注目が集まっています。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Tina G. Yin Sowatzke, Pharm.D. McKee Voorhees & Sease PLC (元記事を見る)