2019年PTAB分析データ

PTABにおけるAIAトライアルのデータ分析をしました。この分析データを参考にすることで、PTABにおける手続きの利便性や防衛手段などが見えてくると思います。

元データ

この分析は、2018年までの最終判決(final written decisions)全件と2017年までのinstitution拒否判決(decisions denying institution)全件を対照に分析しました。一般的に、最終判決はinstitution判断の1年後におこなわれるので、統計データに偏りを作らないために、2018年のinstitution拒否判決に関するデータは含まれていません。

分析結果(詳しくは元記事のグラフを参照)

  • サバイバルレート: 生き残ったクレームと無効になったクレームは約半々です。
  • 時間軸で見たサバイバルレート: 2014年は70%近くのクレームが無効になっていたが、今は50%弱。
  • Institutionされたクレームのサバイバルレート:生き残ったクレームは2017年まではわずか21.7%、2018年は少し上がり23.7%に。最高裁のSAS判決によりInstitutionのルールが変更。それまでは、Partial institutionもあったので、Institution自体がIPRの結果に大きく影響を与えていた。SAS判決は、統計的に見ても長期的な影響をおよぼすと考えられている。
  • IPRにおけるクレーム補正の割合:2018年のデータを見ると、いままでよりもIPR手続き中にクレーム補正ができる可能性が拡大。これには、Aqua productsなどの判例が影響していると思われる。
  • 差し戻し案件の判決までの時間と結果:27の判決を見たところ平均は789日ほど。結果のほとんどはクレームに変更なし。
  • IPRと訴訟の関係:実にIPRの対照になっている特許の85.7%が訴訟で権利行使されている特許。

その他にもおもしろい統計データと分析コメントが記載されているので、ぜひ元記事を参照してみてください。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Justin J. Oliver. Venable LLP(元記事を見る

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

untruth
訴訟
野口 剛史

特許表示の要件を満たしていないため訴訟前の損害賠償請求が棄却される

アメリカの訴訟はディスカバリーシステムがあるので限られた事実情報だけでも訴訟を起こすことができます。また、特許の場合、特許表示の要件を満たすことで、訴訟前の損害賠償請求もできます。しかし、当然ながら「結論ありきの主張」は認められず、説明責任があることを忘れないでください。

Read More »
訴訟
野口 剛史

例外的なケースは個々の事実背景が大切

弁護士費用を認める例外的なケース(exceptional case)は事実背景がとても重要になります。特に物事が起こったタイミングが重要なことが多いので、訴訟案件の1つ1つの時系列を改めて見直し、精査する必要があります。

Read More »
VIP
ビジネスアイデア
野口 剛史

ウェビナーでVIPチケットを販売

先週に引き続きオンラインコンテンツの話をします。セミナーやウェビナーをやるなら、講師の先生と話す権利が得られるVIPチケットを限定販売するのはどうでしょうか?

Read More »