PTABにおけるAIAトライアルのデータ分析をしました。この分析データを参考にすることで、PTABにおける手続きの利便性や防衛手段などが見えてくると思います。
元データ
この分析は、2018年までの最終判決(final written decisions)全件と2017年までのinstitution拒否判決(decisions denying institution)全件を対照に分析しました。一般的に、最終判決はinstitution判断の1年後におこなわれるので、統計データに偏りを作らないために、2018年のinstitution拒否判決に関するデータは含まれていません。
分析結果(詳しくは元記事のグラフを参照)
- サバイバルレート: 生き残ったクレームと無効になったクレームは約半々です。
- 時間軸で見たサバイバルレート: 2014年は70%近くのクレームが無効になっていたが、今は50%弱。
- Institutionされたクレームのサバイバルレート:生き残ったクレームは2017年まではわずか21.7%、2018年は少し上がり23.7%に。最高裁のSAS判決によりInstitutionのルールが変更。それまでは、Partial institutionもあったので、Institution自体がIPRの結果に大きく影響を与えていた。SAS判決は、統計的に見ても長期的な影響をおよぼすと考えられている。
- IPRにおけるクレーム補正の割合:2018年のデータを見ると、いままでよりもIPR手続き中にクレーム補正ができる可能性が拡大。これには、Aqua productsなどの判例が影響していると思われる。
- 差し戻し案件の判決までの時間と結果:27の判決を見たところ平均は789日ほど。結果のほとんどはクレームに変更なし。
- IPRと訴訟の関係:実にIPRの対照になっている特許の85.7%が訴訟で権利行使されている特許。
その他にもおもしろい統計データと分析コメントが記載されているので、ぜひ元記事を参照してみてください。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Justin J. Oliver. Venable LLP(元記事を見る)