外部機関に表彰されると会社のアピールに使えますね。知財業界でも様々な団体が企業の取り組みを表彰・紹介しているので、そのような機関に自社の知財活動を紹介してもらって、知財力を世間にアピールするのはどうでしょうか?
知財IRの一環として
8月に知財IR活動の記事を書きましたが、今後は大々的に自社の知財活動を投資家にアピールして会社の時価総額に貢献するという取り組みが徐々に増えてくると思います。自社における知財活動を投資家向けのIR資料に加えてたり、知財活動をアピールするページを自社ホームページに設けたりしてもいいですが、手前味噌なので客観性に欠けるというか、それだけだとインパクトが薄い感じがします。
そこで、会社の知財活動を評価したり、表彰したりしている団体にアピールできる知財活動を意図的にしたり、そのような団体に問い合わせをするのはどうでしょうか?
Derwent Top 100 Global Innovators
これは多分一番知られている表彰だと思います。元々はthe Thomson Reuters Top 100 Global Innovatorsとして始められて、2011年ぐらいから始まったらしく、2016年ぐらいからDerwent Top 100 Global Innovatorsという名称で継続しています。
最新版のレポートはここから無料で入手できます。
表彰を受ける企業のほとんどは大企業なのである程度の規模の会社じゃないと選考にも乗らないと思いますが、表彰されている企業と同じような規模の会社だったら、取り組み次第では数年で受賞できるチャンスは来るはずです。
分析されるものは、volume; success; globalization and influenceと書かれていますが、あまり詳しくは書かれていません。しかし、結構な数の企業を均一の方法で査定しているので、かなりシステマティックな方法で調査していると思います。
つまり、何らかのマニュアルや評価方法が確立されているので、逆に言ったら、その評価方法にカウントされるような活動をし続ければ比較的高い確率で数年以内にランキングに入れる可能性があります。
年間100もの企業がランキングされていて、それをすべて公開情報から評価しているはずなので、Derwentの評価方法はそのような情報を分析すればある程度わかるはずです。細かなところまで見てはいないはずなので、簡単にとれる数字を分析すればある程度のボーダーラインが見えてくるはずです。
地道にリバースエンジニアリングしてもいいですが、表彰を真剣に考えている場合、Derwentに連絡をとってみるのはどうでしょう?アプローチのやり方次第ですが、結構キーになるメトリックスの割り出し方法なんかも教えてくれるかもしれません。
賞をとることを知財の目的にしなくてもいいですが、ランクインしている企業の知財活動を調べて、そこから自社にあった独自のメトリックスなどを設定することもできるので、一度Top100にランクしている企業の知財活動分析をしてみるのもいいですね。ちなみにレポートでは業種別でランクインした企業がリスト化されている部分があるので、自社の業種でランクインしている企業をピンポイントで調べることもできます。
数年後、めでたくTop100にランクインした際には、Dow Chemicalみたいにプレスリリースを書いたり、自社のホームページなどで大々的にアピールしたりすることができます。
特許庁などの特集
といっても大企業か急成長している企業でないとまずDerwent Top 100 Global Innovatorsになれないので、他の方法も考えましょう。
例えば、日本の特許庁など様々な団体が知財特集をしています。このような特集記事で自社の知財活動をアピールしてもらうのも知財IRの一環として有効だと思われます。
特に特許庁の特集は、中小企業の知財活動に注目している傾向があるので、大規模な知財部門がなくても、十分自社の知財活動をアピールできる場です。例えば、この記事では印刷所の活動が紹介されていました。
実際に特集を組む側としてはネタ探しが大変なはずなので、特集してほしい企業側から提案を受けるのはうれしいはずです。そして、無事採用されて特集記事が組まれれば、企業側もイメージアップでまさにWin-Winの関係が成立します。
このような活動は会社の規模に関係なくいつでもできるので、知財IR活動を始めるにあたって、どのような団体が知財活動を紹介しているのか一回調査してみるのもいいですね。
まとめ
知財は見せ方次第で価値が変わります。社内での活動を外部に情報発信していくことは「知財に強い企業」として認識してもらうためには必要不可欠です。しかし、自社だけで情報を出しているだけではインパクトに欠けます。同じ活動を紹介するにしても、外部から認めてもらった方がインパクトは数倍上です。今回はランキングと知財特集記事の紹介をしました。方法はいくらでもあると思うので、いろいろと模索しながら自社のビジネスにあった知財IR活動をしてもらえればと思います。