最近は新型コロナウイルスの対策としてIT大手のGMOなど多くの会社でテレワーク対策等がなされています。新型コロナウイルスは予期しない出来事ですが、これにより働き方改革が進むのでは?などの声も上がってきています。
オンラインで仕事をする環境が整う中、OLCでも言い続けている「個」の影響力の拡大に伴い、今後もよりクライドソーシング業務が増えていくことが考えられます。そこで今回は、特許に特化した翻訳クラウドワークサイトの可能性について考えていきます。
知財系の翻訳を依頼する顧客目線で作られているサイトはない
翻訳とクライドソーシングは相性がいいので、多くの会社がサービスを提供しています。数も多いので、まとめサイトも存在するくらいです。
翻訳クライドソーシングサイトには2種類あって、企業が窓口で実際の翻訳者がわからない形式(あなたの翻訳チームや、gengoなど)とフリーランスの翻訳者と依頼主をマッチングするようなサイト(LancersやCrowdWorksなど)に大きく分けられると思います。どちらも長所と短所があるのですが、特殊分野である特許や知財分野になると、いまの既存のサイトだと効率よく翻訳者が見つけられない問題があります。
例えば、最初の企業が窓口のサイトは、コンタクトフォームなどで問い合わせをしないと対応できるリソースがあるのか、費用はいくらぐらいなのかなどの問い合わせる前に聞きたい内容ですらわかりません。目安の費用(一語あたりのコスト)が表示されている場合もありますが、特許などの専門分野の場合、単価は高額なので、一般的なサイトに表示されているようなコストはあまり意味がありません。また、クライドソーシングで知財系の翻訳を依頼したい場合、単発の案件が多く、すぐに翻訳がほしい場合が多いので、このようないちいち問い合わせをしないとわからないような仕組みだと時間だけ取られてほしい情報が得られない(得るのが遅すぎる)などの問題があります。
また、後者のフリーランス翻訳者とのマッチングサイトも、汎用的過ぎて、特許翻訳などに必要な技術バックグラウンドや特許の翻訳経験などコンタクトを取る前に知りたい情報ですら、欠けていたり、圧倒的に情報量が少ないのが現状です。また、翻訳者の登録数自体は多いですが、特許翻訳などの特殊業務になると該当翻訳者が極端に減ります。つまり、特許翻訳という特殊な分野の仕事を依頼するには、実際に業務を担当する翻訳者に関する必要な情報を開示していて、簡単に検索や依頼することはできません。
どんなサイトなら差別化でき、知財プロフェッショナルに使ってもらえるのか?
通常の知財部や特許事務所は提携している翻訳者か会社があると思いますが、急ぎの案件だったり、提携先が対応できない案件の場合、単発でクライドソーシングのサイトを使うのではと想定します。
しかし、既存のサイトでは知財という特殊分野の翻訳業務に対してどうしても利便性に欠けているので、知財プロフェッショナルに実際に使ってもらえるようなサイトをつくる場合、少なくてもサイトの公開情報で、翻訳者の経歴、知財系の翻訳経験、サンプル翻訳(担当した公開済みの特許)、技術分野、単価、早期対応可能かぐらいの情報は盛り込みたいですよね。そして、このようなスキルや経験、予定などで一括検索できるようなサイトがあれば、より便利で他の汎用的な翻訳サイトとは区別できます。
人材の問題
クライドソーシングのサイトデザインがいくらよくても、知財の専門スキルを持った翻訳家がある程度の人数登録してくれて、実際にサイトを使って仕事を得られるようにしないといけませんね。これは地道な作業ですが、知財翻訳の業界は狭いので、何もコネがないところから始めるなら、翻訳者のための団体(例えば、American Translators Association)に登録している翻訳者を見つけたり、団体が主催している大きなカンファレンスに行ったりすることで、コネクションを作ることが大切だと思います。
市場としては大きいのか?
知財関連の翻訳業務はそんなに大きくないと思います。特に、すでに提携しているところがほとんどで、そのような閉鎖的な市場に参集するので、市場開拓には時間がかかると思います。しかし、知財に特化した翻訳クラウドワークサイトで成功すれば、可能性は無限大です。
というのも、今回のように専門分野に特化したサービスを成功させれば、他の専門分野への応用もできる可能性が高いからです。他の法務業務、会計、医薬品などなど特殊な知識が必要な翻訳業務は多々あります。それらは基本閉鎖的な市場なので、それらをよりオープンにして効率よく取引を行えるようにすることで、翻訳者の独立と利益拡大、またそれに伴う、翻訳サービスの向上と価格の低下も期待できます。
最初の市場は別に小さくてもいいのです。汎用性のあるプラットフォームと立ち上げと運営に関するノウハウが蓄積されれば、他の分野での横展開で活躍する市場を広げればいいのです。
まとめ
知財翻訳に特化したクラウドサービスを提供するサイトには十分なビジネスチャンスがあります。環境も市場もインフラ設備も整ってきているので、今市場に参入できれば、将来的に特殊翻訳の分野において、独占できるようになると思います。