裁判は基本一般の人が傍聴できるようになっています。同じように特許庁における口頭審理・証拠調べも原則公開されているので、関係者じゃなくても傍聴できます。そこで実際に行われる無効審判手続きを知財教育教材にするのはどうでしょうか?
企業の知財プロフェッショナルの方が悩まれる課題の1つに知財教育があると思います。知財は複雑で抽象的なイメージがあり、あまり一般のニュースなどで取り上げられないため「おもしろく」することが難しい分野の1つです。
また知財教育の場合、座学が一般的でエンジニアや事業部の従業員など知財部以外の社内人材に効果的な教育をするということはかなりハードルが高いです。研修を飽きさせない工夫やケーススタディを考えるだけでも膨大な時間と労力がかかります。また、結局どんなに巧妙なケーススタディを考えても架空の事柄なので、真剣に取り組んでもらえるかはわかりません。
そこで知財がいかに大切かということを生で感じてもらえるように一般に公開している無効審判の傍聴をプログラムの一部に加えるのはどうでしょう?

特許庁のサイトによると、このように口頭審理・証拠調べの傍聴は原則公開されています。

アメリカの特許庁でも同じように PTAB の傍聴ができます。
実際に当事者同士が特許の有効性について主張する場にいることは緊張感を生みます。当事者は時間とお金をかけて無効審判手続きを行っているわけで当然真剣に案件に取り組んでいます。それを間近で見れるのは臨場感がありますね。
さらに事前に案件の内容を確認できれば、受講者に事前知識としてインプットできるし、口頭審理までいくまでのプロセスや費用、当事者の戦略や思惑などさまざまな切り口で実際の案件を分析・解説できます。
このように実際の案件を間近で見ることによって、座学では決して学べない知財の大切さやその危うさを受講者に体験してもらうことができます。