知財でもウェビナーで情報発信をするところが増えてきました。しかし、そのほとんどが英語ベースで時間も1時間程度と参加するにもハードルが高いと思う知財関係者も多いのではないでしょうか?そこで、私が実際にウェビナーを受け、そこからなんだことを皆さんとシェアーすることを考えました。

今回は、今年の5月に行われた「Update on Section 101 Guidlines」というアメリカ特許庁公式のウェビナーをレビューしてみました。
今回取り上げたウェビナーは、この掲載サイトからアクセスできます。(今回紹介したウェビナー以外にもたくさんのウェビナーが一覧になっています。)PDF版のスライドリンク。録画版ウェビナーリンク。
ウェビナーから学んだこと

アメリカ特許庁公式のウェビナーともあって、スピーカーは現役の Deputy Commissioner とPTAB Lead Judge です。なかなか特許庁内部の人によるプレゼンを聞く機会は少ないと思うので、このようなオンデマンドでプレゼンを聞けるシステムはうれしいですね。
スライドそのものは審査官の教育の際に使われたものと全く同じとのことなので、実際に特許庁ではどのような教育がなされているのかも垣間見られるユニークなウェビナーになっています。
しかし、前半の20分プレゼンされたガイドライン自体はスライドやその他のリソースをしっかり勉強していれば、とくにウェビナーを見なくてもいいのかなと思いました。ただ、自分で学んだところを復習する形で ガイドラインの解説部分を使うのはありかなと思いました。
60分のウェビナーの後半、半分以上がQ&Aです。その部分のスライドや文字情報はないので日本人にとってはちょっとフォローが難しい内容かもしれません。またトピックも質問によってPTABでの手続きになったりUSPTOにおける審査になったり話が飛ぶのでフォローしづらいです。
しかし、特許庁がこのような形で情報発信しているところは評価するべきです。ウェビナー自体から学べる要素は少ないですが、例えば、Liveでウェビナーを行っている時にリアルタイムで参加して質問ですれば、実際にUSPTOの職員や判事に直接質問できます。実際にUSPTOの職員や判事に直接質問できる場は少ないので、 Liveで参加して質問できればとても有益な情報源になると思いました。
ウェビナーの概要
新しい変更の内容をフローチャートにして紹介。
変更点のステップ2Aに関すいる2つの点を紹介。
前半は、Deputy Commissioner for Patent Examination Policy Robert Bahr 氏による変更点の詳しい説明。ここはウェビナーを聞くよりも実際に新旧のフローチャートを比較した方がいいかも。でも、ウェビナーでは、今回の新しいガイドラインで変わったところ、変わっていないところが明確に示されているので、自分でフローチャートを確認してから、確認の為にウェビナーを聞くという使い方がいいかも。101のフローチャートの知識がある程度ないと理解できない内容。
重要な変更点

ステップ2AのProng oneをグループ化し、よりはっきりとAbstract ideaが記載されているかを示す。グループ化することでConsistencyを向上する狙い。
実際には、審査官がクレームを審査し、クレームがAbstract ideaとしてガイドラインに記載されている3つのグループの最低でも1つを満たすかを判断する。3つのグループのいずれかに該当しなくても審査官はAbstract ideaとしてクレームを拒絶できるが、その場合、スーパバイザーの承認が必要なのでより審査官にとって時間のかかる面倒くさい手続きになっている。

ステップ2AのProng twoは今回新たに加えられたもの。判例に基づき今回特許審査に追加。

どのようなものがjudicial exceptionとして扱われるか(扱われないか)の例を紹介。

USPTOが発行している101に関する参考資料を紹介。
Q&A
リアルタイムの質問の受付がEmailというのもなんか変な気がしますが、20分以降はQ&Aセッションに入ります。
PTABは判例を重視しながらAbstract ideaを判断。
101による拒絶は減ってきたものの、101の拒絶があるものは大体他の102や103、112の拒絶も含んでいることが多いので、101の拒絶が減ったからと言って、権利化率はそれほど変わっていない。
変更がどのタイミングで適用されるのか、すでに審査中や再審査されている案件についての対応。