ウェビナーレビュー:知財系の契約で陥りやすい落とし穴

今回は、去年の12月に行われたウェビナーで特許契約などの知財系の契約で陥りやすい落とし穴について話していたものがあるので、それをまとめてみました。

元々日本に向けて配信されていたようなので、わかりやすいシンプルなウェビナーでした。あまり気にしないような点でも、大きな問題になるかも知れないところを判例などの具体的な例を用いて紹介していたので、とても参考になります。

ライブのウェビナーはすでに終了していますが、このリンクから必要事項を記入すれば、いつでもオンデマンドで録画されたウェビナーを見ることができます。

以下は私によるまとめです。参考までに。


まとめ

契約は「明確に、正確に」これが基本。

契約がきっかけになる問題には不明瞭な契約内容が発端になる場合がほとんど。

不明瞭な言葉

“Relating to” という用語にははっきりとした境界線がない

ライセンスなどに多用される場合が多い。契約時点ではっきりとしたスコープがわからないため。しかし、出来ればもう少し明確に。アイデアとしては、例を上げでどのようなものが含まれるのか、逆に、どのようなものは含まれないのかを示すのもあり。

用語のブレ

例としては、TechnologyとKnow-howという別の用語が使われているにもかかわらず、同じ意味で契約書内で使われているなど。

対応としては、1つの用語を契約書内で定義し、その用語だけを使う。同義語は契約書には含めない。

用語の定義

用語の定義は大切。特に重要な定義は契約書内で定義するべき。一般的に使われていると思うような用語も重要ならば、定義するべき。定義するべき用語の例:Licensed Patent, Field of Use, Improvementなど。

1999年の判例を紹介

実際にあった判例を使って契約の曖昧さを示してくれるのがいいですね。

契約書の作り方

Form agreementsをベースに作成するのは悪くないが、それに頼りすぎないことが大切。必要なもの、逆に必要ないもの、カスタマイズをする必要がある。わからない規約がある場合は、残すのではなく、取り除くか、弁護士に確認することをが大切。

Boilerplate Clauses

契約の後半にある決まり文句のようなもの。あまり注目されないで、見逃されやすいが、以外に重要な部分である、なので、慎重に検討する必要がある。

ライセンス

ライセンスのスコープが明確になっていることが大切。

不完全、または、不明瞭な許可

必要なライセンスを得る、(逆に言うなら、必要でないライセンスを与えない)ことが大切。例えば、make, use and sell はあるが、importの文言がない。不明瞭なのは、特許法に書かれていない用語:practice や exploit など。

Sublicenseを許すか明確に

訴訟における例を説明。Sublicenseは明確にするべき。

許可(Grant)は制限ではない

例:アメリカ特許のライセンス(許可)とアメリカのみでの使用(制限)は別の話。

ライセンスで制限を設けない場合、ライセンスが原因で競合他社に市場介入を許すことになるかも。Cyrix v. Intel Corp.

例えば、ライセンシーがデザインした製品のみにライセンス許可、または、ライセンシーのブランドで販売されるもの(OEMなどは認めない)などの制限をつけないと、競合がライセンシーにOEMを依頼した場合、競合をライセンシーにライセンスした特許で訴えられない可能性がある。

ライセンシーのアフィリエイト

スピンオフが起こった場合、ライセンスが継続するのか?契約で明確にすべき。

新しいアフィリエイトが加わったときにライセンスがそのアフィリエイトにも適用されるのか?これも契約で明確にするべき。

Field of Use制限

制限を超えたものは特許侵害(判例)だが、契約違反ではない場合も(判例)

契約違反を明確にするには、Promise not to practice outside licensed fieldsなどを加えるのがいい。このPromiseの違反により、契約違反を明確にできる。特許訴訟はお金がかかるが、契約違反で訴えるのは、比較的安価。

ロイヤルティー問題

ロイヤルティーベースを明確にして、支払いを簡単にする。その方がライセンシーの負担も軽減されるし、監査も簡単。

例えば、コストや利益をベースにしたものは不明確。通常、ライセンシーが記録しないものも間違えを起こしやすい。トレードのチャンネルを理解する。製品が売られる形を理解して(BulkかDosageか)。

Net Salesはしっかりと定義する

Shipping, insurance, taxesを除外するのはいいが、net salesに含まれているのか、顧客に責任を転換するものなのかなども明確に。例、社内の輸送費用などは除外されるべきではないが、除外されているかもしれない。

”Arm length” transactionではない取引(内部の取引)はNet salesに含むべきではない。Lease, use, donateの場合、どうロイヤルティーを計算するのか?また、ライセンス製品が部品の場合、どのようにロイヤルティーを計算するのか?

為替の問題。為替のレートと時期。遅延、ペナルティー、Overpaymentの際の対処。Withholding taxを明確に。

予測されるイベントの際の対処方法を明記

企業機密が公開された場合。

ライセンスした製品を売らなくなった場合。Minimum royalty obligationがある場合、製品を売らなくても払う必要がある。

特許満了でロイヤルティーを変える規約は?

その他

レポートの内容。広すぎる内容の場合、必要以上の情報を与えてしまう可能性も。

記録管理。いつまで?どのような情報を管理しないといけないのか。

監査。頻度、場所、開示、期間など。コストと支払い責任がどこにあるのか?監査の方法。

Choice of Law

アメリカでは特に大切。州によって考え方が違う。Statutes of limitationも州によって違う。関連する州を選ぶべき。

問題解決 Dispute resolution

Arbitration v. litigationどちらを採用するのか?どちらにもいいところ、悪いところがある。

適用される範囲は? “related to”という表現はとても広い意味をもつ。

Arbitrationで適用されるルールは?AAA, ICC, UNCITLなど

パネルか1人か

どうAwardがもたらされるか、

Confidentiality

場所、言葉、時間制限、行使する管轄なども考えて、契約時に出来る範囲の内容を明確に示す方がいい。

Indemnification

Indemnificationがある場合、明確に定義し、どのような内容のものをどうIndemnifyするのかを示す。Defend, indemnity or hold harmlessはそれぞれ違う意味がある。

特許侵害や企業機密の搾取だけなのか?Willfulnessなども含まれるのか?弁護士費用は?

どうIndemnificationが有効かされるのか?承認?通知?

訴訟の主導権は?協力は得られるのか?認証システムは?

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

キャンプ
ビジネスアイデア
野口 剛史

キャンプサイトでワーケーション

シルバーウィークはいかがでしたでしょうか?アメリカにはシルバーウィークはないのですが、ちょうどお同じ時期にキャンプに行ってきました。これからは外でもエアコンなしで過ごせる時間が長くなるので、キャンプサイトなど「外の空間」で働くのはどうでしょうか?

Read More »