特許の売買マーケットはまだ発展途上です。特許の価値が高いアメリカでも気軽に特許を現金化できるマーケットが存在しない理由の1つとして、そのような売却マーケットの主な買い手が、権利行使を目的としたnon-practicing entities (NPEs)だったことにあります。
マネタイズしたい特許があったとしても、自社の特許がNPEの手に渡り、権利行使され、和解金や賠償金を巻き上げる材料にされてしまうと、会社のイメージやブランド力に悪影響をおよぼす可能性があります。そのため、特許の売却マーケットがあっても、敬遠する企業が多くあります。
また、特許の売り買いを仲介するブローカーも大きなポートフォリオの売買による手数料で稼ぐ方が、小規模の取引を数多くこなすよりも簡単なので、メルカリのような気軽に売買できるプラットフォームが形成しづらいという問題もあります。
しかし、特許の売買に対する将来性はあります。そもそも特許は技術が市場で採用される以前に先行投資として取得するものです。なので、特許をとったものの市場やニーズがマッチしない場合、必然的に使えない特許ができます。
しかし、その使えない特許というのは自社にとっての話で、特許自体が客観的に価値を失ったわけではないのです。つまり、自分の不要なものをメルカリに出品すると買い手が見つかるように、自社では価値のない特許も、他社に取っては価値があるかもしれないのです。
元記事の著者Nicholas Widdowson弁護士は、特許を放棄する前に買い手を探すべきと言っていますが、どのように買い手を探すかまでは記事に書いていません。
OLCの読者から聞いた話だと、日本では川崎モデルとよばれるような地方時自体が休眠特許の活用を斡旋して成功している例もあるようです。
需要もあり、成功例もあるということは、もしかしたら次の知財ビジネスチャンスは、便利な特許の売買マーケットの確立にあるのかもしれません。
特許売買はビジネスとして成り立つと思いますか?
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Nicholas Widdowson. Boult Wade Tennant LLP (元記事を見る)