アメリカにおける著作権の基本的な情報です。「著作物とは何か」から始まり、保護の方法、著作権の期限まで知っておきたい情報をまとめました。
著作物とは?
著作権の保護範囲は広く、独自に制作された表現に適用されます。具体的には、本、記事、動画、写真、音声、絵、建築図面、技術的な図面、コンピュータソフトウェア、視覚的なアードなどが含まれます。
また、商用目的で作成されたものにも著作権の保護が及ぶこともあります。たとえば、マーケティング資料、製品の梱包、ウェブのコンテンツ、デザインマーク、コマーシャルソング、従業員教育ビデオなど。
著作者の権利
著作権の所有者が保護されたものに対する権利をもっていて、その権利の中には、複製する権利、著作物を売る権利、派生物を作る権利なども含まれます。原則、著作権の所有者の許可がない限り、他者が著作物を使用することはできません。
アイデアは保護の対象外
ここで気をつけてほしいのが、アイデアは著作権の保護の対象外ということです。この考え方は、オペレーションの方法、原理、プロセス、コンセプトなどにも当てはまります。例えば、ある会社のCEOがビジネスにおけるベストプラクティスを紹介した記事を書いて自社のサイトで公表したとします。そのような場合、書かれた記事自体は著作権で保護されますが、記事に書かれたベストプラクティスのコンセプトは著作権では保護されません。そのため、後に他者が同じコンセプトをオリジナルの言葉で説明している記事が書かれたとしても、その記事は著作権を侵害するようなものではありません。
著作権の侵害
著作権の侵害は、他者が著作権で保護されているものを権利者の許可なく使うことで起こります。この「侵害」は主観的なものなのですが、訴訟になった場合、裁判所は主に“audience test” という方法を使って侵害を判断します。
この“audience test” は、一般の人が両方の作品を見て、誰も共通点を指摘しない状態で、両作品を同じものと認識するかどうかというものです。
また、たとえ問題の作品が原作を明記していて、クレジットを与えていても、著作権侵害を自動的に回避することにはなりません。あくまでも、著作権物のコントロールはその権利者がもっています。
また、侵害者が侵害行為から利益を得ていなくても、著作権侵害は成立します。著作権の侵害は、他者が著作権で保護されているものを権利者の許可なく使うことで起こるので、侵害行為から利益が発生したか否かというのは侵害立証には関係ありません。
著作権の保護
著作権は独自に制作された表現が具体化された時に発生します。つまり、自分の作品が完成した瞬間に自動的に保護が付加されます。
そのため著作権で保護するために特別登録などは必要ありませんが、Copyright Officeで登録することで、追加の保護が得られます。手続き自体はオンライン上で行え、費用も$35から$55ほどです。
また、著作権の告知も行う必要はありませんが、公に著作権の告知をすることはいいアイデアです。告知の方法も簡単で、“Copyright” や © マークなどを使って、対象の作品が自分の著作権で保護されていることを示せばいいだけです。著作権が会社にある場合、“Copyright 2019 Company Name, Inc.” や “© 2018 Company Name, Inc.”などと表示すればいいでしょう。
著作権の有効期限は長い
一般的に、1978年1月1日以降の作品には、著者の生涯プラス70年まで有効です。また著作権が企業にある場合、創造から120年、または、公開から95年(どちらか早い方)までとなっています。
また、商法と違い、著作権の更新はできません。
まとめ
著作権は知的財産の分野でもあまり注目されていませんが、メディア関係のコンテンツを多く持っている企業にとっては重要な知財です。基本的なことを知っているだけでも他者の侵害を感知できたり、逆に自社での意図しない侵害も回避できたりすると思うので、このまとめを活用していただければ幸いです。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Laura Kees and Dan Ovanezian. Womble Bond Dickinson (US) LLP (元記事を見る)