アメリカと中国の貿易問題における知財の取り扱いに対する進展

アメリカと中国の貿易問題は、関税に注目が集まっていますが、知的財産の取り扱いもまた大きな焦点の1つです。今回、2020年1月15日にアメリカと中国の間で署名されたEconomic and Trade Agreement の第一弾に書かれている知財条項を見ていきましょう。

概要

この契約書は、2020年2月14日に有効になり、アメリカと中国間の貿易問題を少なくとも緩和することを目的としています。この契約書には、中国におけるアメリカ知財の保護と権利行使についても言及しています。この契約がアメリカと中国間のすべての知財問題を解決するものではありませんが、方向性としては正しい方向に進んでいます。

この契約書の最初の2つのチャプターが知的財産権に関わることであることが、今回の貿易問題に関する知的財産権の問題の大きさを物語っています。契約書では、トレードシークレットを始め、特許、プライバシー、模倣品、生産地、商標、技術移転など幅広い知財権の内容について言及しています。

今回の契約書では、中国側が適切なポリシーの元、法整備を進めていくことが求められています。

元記事には、今回中国が今後法整備をする際に実装を約束した事柄がまとまった形で示されています。すべてではありませんが、とても参考になるので、興味のある人は元記事を参照してください。

この契約書が意味すること

この契約書自体は法律でも規則でもなく、アメリカと中国間の「約束」に過ぎません。実際にこの契約で約束された事柄に基づく法律が中国で作られ、施行されなければ、実務レベルでの影響はありません。また、法律が作られるだけでは不十分で、実際に法律や規則に則った取り締まりも必要です。

課題は多くありますが、もし中国がアメリカの意向に応じ、この契約書で示された知財の保護と取り締まりを強化するのであれば、よりアメリカと中国の貿易は強くなることが予測されます。

原文: Economic and Trade Agreement の第一弾

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Ryan K. Simmons. Ward and Smith, PA(元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

money
訴訟
野口 剛史

故意侵害による三倍賠償と無効化された特許の関係性

ビデオゲームのコントローラーに関する特許侵害訴訟で、原告Ironburg 社は、被告 Valve社の故意侵害判決を勝ち取りますが、35 U.S.C. § 284基づく三倍賠償が認められませんでした。三倍賠償が認められなかった背景には、無効化された特許クレームとの関係性があります。

Read More »