アメリカ商標における使用意思による出願(Intent-to-Use trademark application)は通常、譲渡できません。譲渡できないと問題が発生するような場合は、事前に計画を立てるか、この問題を避する方法を知っておきましょう。
使用か使用意思の出願によって譲渡の条件が異なる
アメリカは使用主義を取っていますが、商標出願は、既に発生した実際の使用に基づいて(Use-based applications)行うことも、出願人が将来商標を使用する意図に基づいて(intent to use (ITU) application)行うこともできます。しかし、使用に基づく出願は自由に譲渡できますが、ITU出願は譲渡できません。
使用意思の出願は関連事業とセットであれば譲渡可能
ITU出願は、その商標が関連する事業または事業の一部の後継者にのみ譲渡することができ、その事業が継続的に存在している場合にのみ譲渡することができます。事業全体が売却される場合、ITU出願も売却に含めることができます。ただし、特定のブランドを売却したい場合や、単に所有権を関連会社に移したい場合であっても、ITU出願を切り出して売却することはできませんので、注意してください。
企業取引や組織再編において、この禁止事項が不適切であれば、商標登録が無効になる可能性があります。同様に、ITU出願が担保である場合、被担保者は抵当権実行時にその担保の譲渡をどのように受けるか注意する必要があります。
解決方法
この悩ましい問題を回避する一つの方法は、事前に、ブランドに関連する事業の部分を運営する新しい事業体を設立し、その事業体の名前で使用意向による商標出願することです。
また、ITU出願に関連するブランドを売却したい場合、「買い手」に商標の独占的使用許諾を与えるという解決策があります。このライセンス契約は、商標が使用され、所有者が米国特許商標庁に使用の証拠を提出すれば、譲渡に変わります。そのライセンス契約の一部として、当事者は、時期が来たときに元の出願人がどのように譲渡を実行し、引き渡すかを考えておく必要があります。使用声明書(Statement of Use)または使用を主張する補正書(Amendment to Allege Use)が出願された時点で有効となるように、署名された譲渡書を添付書類として用意することが賢明かもしれません。
ITU出願を譲渡できない理由は、法制定の際の議論において、人々がITU出願を買いだめするような行為を議会が望まなかったからです。
参考記事:Intent-to-Use TM Applications Usually Cannot Be Assigned | Gordon Feinblatt LLC