注意:和解の提案が特許訴訟において不利な証拠として使われる可能性

アメリカではRule 408 of the Federal Rules of Evidence という法律があり、原則、和解の提案は訴訟において証拠として提出できません。しかし、例外もあるので、和解の提案が特許訴訟において不利な証拠として使われないように注意する必要があります。

Rule 408 of the Federal Rules of Evidence

Rule 408 of the Federal Rules of Evidence は和解に関するコミュニケーションを守るためにあります。文言も明確で、Such communications are “not admissible . . . to prove or disprove the validity . . . of a disputed claim”とあります。

しかし、このルールには例外があります。(法律全般「例外」は多くあります。これが個別案件の対応に専門の弁護士が必要な理由の1つになります。) そして、CAFCは、 Blackbird Tech LLC v. Health in Motion LLC¸ 2018-2393 (Fed. Cir. Dec. 16, 2019), において、その例外の1つを使い、特許訴訟における弁護士費用の請求を是正しました。

Blackbirdの案件は以前すでにOLCで紹介しました。しかし、和解提案やRule 408については話していなかったので、再度取り上げました。

背景

特許権者のBlackbirdは被告Health in Motionを特許侵害で訴えます。しかし、公判の前夜(非侵害の略式裁判の申立に反対したあと)、訴訟を取り下げました(with prejudice)。このような行為は明らかにおかしいです。

このBlackbirdの行動を受け、被告Health in Motionは35 U.S.C. § 285における弁護士費用の請求を求めました。35 U.S.C. § 285は「例外」である訴訟において、弁護士費用の支払いを訴訟相手に命じるものです。

地裁は、そもそもこの特許訴訟には何もメリットがなく、訴訟における申立人の行為は不条理なものだったとし、この弁護士費用の請求を認めました。

この判決を不服とし、BlackbirdはCAFCに上訴します。しかし、CAFCは地裁における弁護士費用の請求の判決を是正します。この上訴のおいて、CAFCは特許権者であるBlackbirdの和解戦略に注目しました。Blackbirdは、$80,000, $50,000, $15,000と$0($0というのは、これまでの訴訟費用は自己負担でという意味があります。)というような流れで和解提案を行いました。しかし、すべての和解提案は被告Health in Motionによって否定されました。

CAFCは、和解で提示された金額が訴訟の費用に比べて極端に低いことに注目しました。そして、最終的に、この訴訟は不条理な形で進められていたという結論に至りました。

まとめ

Rule 408はほぼすべての和解に関するコミュニケーションを保護します。しかし、不条理な形で訴訟が行われていたことを証明する証拠として和解提案が用いられることもあるので、このような例外を十分理解した上で、和解交渉を行う必要があります。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Jason Hoffman. Baker & Hostetler LLP(元記事を見る

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