商標侵害の際、侵害による損失の計算が難しいため侵害した会社の利益の一部を賠償金として支払うということがよく行われています。しかし、利益の一部の支払いはprinciples of equity(公平の原理)に基づくものなので、裁判所や判事によって判断がことなり、基準が明確ではありませんでした。しかし、今回、最高裁がこの問題を審議することになり、注目が集まっています。
実際に、principles of equity(公平の原理)に基づくというアメリカの商標法であるSection 35 of the Lanham Act にかかれている文言は長年の間、裁判所の見解を分かつものでした。例えば、The Second, First, Eighth, Ninth, Tenth and D.C. Circuits は利益の一部の支払いには故意侵害を示すことが必要であるという見解を示していますが、the Third, Fourth, Fifth, Sixth, Seventh and Eleventh Circuitsではそのようなことは示す必要はなく、あくまでも数多くのファクターの一部として考慮される程度です。このような裁判所による違いは長年続いていることで、今回、やっとRomag Fasteners Inc. v. Fossil Inc. et al.で最高裁が審議することになった次第です。
最高裁は2019年6月28日にcertiorari を許可しました。時期的に、今年の秋に最高裁の次の年度が始まるので、判決は早くても次の年度が始まってからになりそうです。
この最高裁の判決次第では、様々な業種に影響をおよぼすことが予想されます。どのような企業であってもブランド力やブランドイメージが重要な企業であるのであれば、この最高裁の案件は注意深くフォローする必要があるでしょう。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Abhijit P. Adisesh. Womble Bond Dickinson (US) LLP (元記事を見る)