最高裁判決:著作権侵害訴訟を起こすには事前登録が必須

2019年3月4日、Fourth Estate Public Benefit Corp. v. Wall-Street.com, LLCにおいてアメリカ最高裁は全会一致で、著作権者が侵害訴訟を起こすには、事前のCopyright Officeにおける登録が必須としました。

この判決は、application approachという、著作権出願が完了した時点で、著作権侵害訴訟を起こせるという考え方を否定したことになります。

訴訟の背景

この訴訟の発端は、著作権保持者であるFourth Estateというオンラインのニュース組織がWall-Street.comに記事のライセンスをしていたことがきっかけになりました。両者の契約では、契約を終了する場合、Wall-Street.comにあるすべてのFourth Estateのコンテンツを削除することになっていましたが、Wall-Street.comはその契約要件を満たさぬまま解約。それを不服と感じたFourth EstateがCopyright Officeに著作権出願をおこなった後(しかし、登録になる前)、Wall-Street.comを著作権の侵害で訴えました。訴訟は最終的にアメリカ最高裁まで行き、全会一致で著作権侵害訴訟を起こすには事前登録が必須という判決が下りました。

この判決が意味すること

これから著作権の侵害について裁判所で争う場合、対象の著作権がすでにCopyright Officeで登録してある必要があります。このような条件から、著作権の侵害が実際に起きてから著作権の登録を始めると、取り締まりが遅れ、侵害に対して適切な対応が適宜行えなくなる可能性があります。

現在の著作権審査期間は出願から7ヶ月程度が平均とのことですが、この判決を受けて、審査時間が今後伸びる可能性があります。また、追加費用$800を払うことで目標5日間の早期審査が可能です。重要な案件については、このような追加費用を払って登録を早期に済ませることが大切になってきます。

まとめ

Fourth Estateのようにオンラインコンテンツを作り配給している会社は今後、積極的に著作権登録の申請をおこなっていくことが重要になってくると思います。この判決を受け審査期間の長期化が懸念されるので、重要なオリジナルコンテンツなどは早期審査費用を余分に払ってでも著作権登録を早期に終わらせておくことが重要です。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:R. Tyler Kendrick. Lane Powell PC(元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

特許出願
野口 剛史

USPTO、COVID-19パンデミックへの対応でさらに期限を延長

先日の発表に続き、米国特許商標庁は4月28日、コロナウイルス救済・救済・経済安全保障法に基づく暫定的な権限に基づき、COVID-19の発生により現在の期限に間に合わない場合のために、特定の特許・商標関連書類の提出期限と必要な手数料の支払い期限を2020年6月1日まで延長したことを示す新たな告知を発表しました。

Read More »
訴訟
野口 剛史

ITC Domestic Industryの条件は5%の投資?

“significant” or “substantial” domestic industry investmentsを満たすためにはアメリカにおけるdomestic industry productの売り上げの5%以上をアメリカに投資していなければならないという、今回始めて「5%以上」という定数を示しました。この判決が今後のITC調査にどのような影響をおよぼすかを考えてみます。

Read More »
stop-estoppel
訴訟
野口 剛史

COVID-19により訴訟の一時停止が正当化される

特許訴訟は長期化する傾向にありますが、それでも迅速な裁判手続きが求められます。今回の判例の焦点は、特許訴訟でよくあるIPRの結果が出るまで訴訟を一時停止するのか、それとも平行して進めていくのかという問題です。今回の判決の興味深い点が、その判断にCOVID-19の影響が考慮されたところです。

Read More »