裁判官直伝の実務アドバイス(口頭弁論編)

前回の「書類作成:説得力の高い主張をするためのアドバイス」に続き、口頭弁論編を紹介します。

PTABにおける口頭弁論:聞き手を忘れない

1.記録を知っておく(Know The Record):

これが口頭弁論における一番重要なポイントです。裁判に関する記録を十分理解している弁護士が口頭弁論をすることがいいです。たとえ、その弁護士が若手であってもです。PTABの行政判事は事前に提出された書類やパワーポイントなどはすべてに目を通してあるので、訴訟の重要な部分でない限り、案件の背景などを口頭弁論で説明する必要はありません。また、行政判事はプロなので、陪審員と違い、感情に訴えるような発明に至るまでの感動ストーリーなどは効果がないとのことでした。

2.質問にちゃんと答える(Answer The Question Asked):

これも重要なポイントです。判事が質問した内容に対してちゃんとその場で答えることが大切です。「後で説明する」など回答を避けるような発言は印象を悪くするだけです。

3.鍵となる主張を明確に説明する(Explain Key Arguments Clearly):

一番重要な、勝訴を勝ち取るための主張には十分時間を取り、判事がその主張についていっているかを確認しながら進めていきます。急いでスライドを何ページも短時間で説明し、その間に判事が興味をなくし、大切な主張が伝わらないというケースも過去に何度もあったとのことでした。主張はプレゼンテーションを中心に行っていたとしても、判事が理解しているかを確認するために、証拠などを参照して、スライドだけにとらわれないようにするのがいいでしょう。また、説明中でも、質問があれば、その質問に対応し、スムーズに説明中のポイントに戻るようにします。

4.担当判事について調べる(Research Your Judges):

担当判事が以前に担当した口頭弁論の記録を入手して、判事のスタイルを事前に知っておくと口頭弁論がスムーズに進みます。例えば、担当判事は、最初から質問してくる人なのか、それとも、イントロダクションを聞いてから質問してくる人なのか、どのくらい質問してくるのかなどが記録からわかります。

5.反論の際に問題点をリストする(List Key Issues In Rebuttal Time):

もし反論時にいくつかの主張を強調したい場合、最初に問題点をリスト化して指摘することが有効です。判事は判決を書く際に、口頭弁論の記録にも目を通すので、最後に訴訟の論点や重要な主張がリスト化されたものがあると、判事が判決を書く際のアウトラインの参考にもなるので、重宝するとのことでした。

上記のアドバイスは、2018年7月26日の特許庁Silicon Valley Regional Officeが開催したPTABによるJudicial Conferenceからです。このカンファレンス期間中、行政判事(ALJ)がPTABに関わる様々な手続きに関する実務アドバイスを語りました。今回はPTABの手続きにおける口頭弁論のポイントを紹介します。(書類作成のポイントはここ。)

コメント:

IPR などの PTAB での手続きで口頭弁論がある場合、当事者として口頭弁論を聞くことがあると思います。しかし、このような判事の評価ポイントを知らないと、口頭弁論を聞いても、判事の印象を正確に判断できません。今回のポイントは弁護士や事務所に対してのものですが、口頭弁論における印象を正確に把握するための良いポイントが詰まっています。また、ここで学んだポイントを参考に、事前準備の際に弁護士事務所の人選や下調べがちゃんとできているかの確認もできます。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: S. Christian Platt. Jones Day (元記事を見る

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