近日中に PTAB における再審査手続きに大きな変更がありそうです。具体的には、IPRにおいて、特許権者は IPR 開始判決(institution decision)から6週間の間にクレーム補正の申し立てができるようになり、その後、IPR 申立人が6週間の間に反対手続きをおこなうことができるようになるとのことです。
今後 IPR に関わりそうな企業や事務所は、特許庁による PTAB の再審査手続きに関する様々なルール変更を注意深くモニタリングする必要があります。
AIPLA の総会で、USPTO の所長である Iancu 氏は今後の所長としての目標として、PTAB の改革をおこなうことを宣言しました。すでに PTAB におけるクレーム解釈の基準が Broadest Reasonable Interpretation から Phillips construction へ変更されることはお伝えしましたが、今回のスピーチでは、IPR におけるクレーム補正手続きに関して大きなルール変更があることが伝えられました。
Iancu 氏の見解によると、現在の再審査手続きにおけるクレーム補正はうまく機能していないとのことでした。実際に、IPR などの PATB における手続きでクレーム補正の申し立てがあったケースは全体の10%程度で、その申し立ての内10%が許可されるという状況です。現在のルールにおいて、IPR でクレーム補正ができる可能性はほぼゼロなので、そもそも補正の申し立て自体が少ない状態です。
このような状態を重く見て、Iancu 氏は、特許権者がクレームを補正できる機会が与えられるべきだと発言しました。また、意味のあるクレーム補正が IPR 手続きの早い段階で行えるように、IPR 開始判決(institution decision)すぐに特許権者にクレーム補正のチャンスがあり、補正があれば IPR の申立人が反論するチャンスや、Board からの preliminary non-binding decision、さらには、その preliminary decision を受けたさらなるクレーム補正などが盛り込まれた新しいクレーム解釈手続きが誕生するとのことでした。
To achieve these goals, we propose a new amendment process that would involve a motion filed by the patent owner soon after institution, an opposition by the petitioner, a preliminary non-binding decision by the Board, and the opportunity for the patent owner to revise the amended claims in light of this preliminary decision.
具体的には、特許権者は IPR 開始判決(institution decision)から6週間の間にクレーム補正の申し立てができるようになり、その後、IPR 申立人が6週間の間に反対手続きをおこなうことができるようになるとのことです。
Specifically: the patent owner will have a window of six weeks following an institution decision to file a motion to amend, if they so desire. The petitioner will then have six weeks to oppose.
現在提案されているクレーム補正手続きの流れは、このリンクから確認できます。
Iancu 氏によると、このように Board がケースの早い段階でクレーム補正を許すことで、問題点を絞り、問題の早期解決が期待できるとのことです。クレーム補正のルールを変更する前に、公の場からコメントを求めるとのことです。コメントは2018年12月14日までこのメールアドレス(TrialRFC2018Amendments@uspto.gov)にて受け付けています。
Iancu 氏にとって、より信頼できる予想のつく再審査手続きがおこなわれるようPTABを改革していくことが大きな目標のようです。今後もPTABにおける手続きにおいて様々なルール変更が予測されるので、IPRの手続きに関してはつねに最新の情報を手に入れることが大切になってきます。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Dennis Crouch. Patently-O (元記事を見る)