日本では今ビットコインの相場が話題になり億り人が続出していると聞きますが、アメリカではビットコインの背景にあるBlockchain技術を使ったNFTも注目を集めています。NFTはアートの要素も大きく知財との相性もいいので、これから伸びるであろうNFTの市場に知財の専門家として関わるメリットについて考えてみました。
NFTってなに?
NFTとは、Non-Fungible Tokensの略で、代替不可能なトークンのことです。何を言っているのはわからないという人も多いと思いますので、僕なりの理解をここで説明したいと思います。
例えば、通貨なら5ドル札を持っていても、1ドル札を5枚持っていても、トータルで5ドルなので、誰も気にしません。このようなものは代替可能と言います。代替可能性について話すなら、現金もビットコインも同じです。
しかし、NFTは、それぞれのNFTがユニークであるため、「Non-fungible」(つまり代替不可能)です。NFTは、ユニークな芸術作品のように、1つの「オリジナル」を表すことができます。つまりNFTを用いるとデジタルだけど自分だけしかユニークな作品を所有することができます。
NFTが最初に流行ったのがCryptoKittiesというものです。CryptoKittiesは猫を配合したり、売買し たりすることができるゲームなのですが、それぞれの猫に識別子が与えられています。そのため、それぞれの猫が「Non-fungible」(つまり代替不可能)なため、コレクタブルで、トレードも可能になってます。
つまり、今まではデジタルなものは簡単にコピーできたので、一品物を個人が「所有」することができなかったのですが、NFTを用いることで、デジタルであってもたった1つの「オリジナル」を所有することができ、そのため、「希少価値」を示せるようになりました。
専門的な情報を得たい場合は、Googleで検索してもらえれば日本語でも情報はあるので探してみてください。あと、このペーパーにはわかりやすく書かれています。
NFTを使ったデジタルアート市場は急速に伸びていて、先日オークションでJPGファイルが6900万ドルで落札されました。その他のNFT市場も急速に成長していて、2020年末時点でのNFT業界の時価総額は3億3800万ドルに達しているという報道もあるくらいです。
なぜ知財が関わってくるのか?
さて、このようにNFT業界はものすごい勢いで伸びているのですが、実は、知財と相性がいい業界でもあります。
例えば、芸術作品のNFTを作るときに、NFTの著作権者は誰になるでしょう?少なくともアメリカの観点からすると、元の芸術作品を作った作者になると思われます。しかし、NFTの技術やその背景にあるBlockchainの技術など、ソフトウェアにも関わってくるので、今後NFTの市場が大きくなるに連れ、著作権が問題になることも大いに想定できます。
商標はどうでしょう?例えば、NBAはNFT化したバスケの試合のシーンを販売しています。そのNFT化された映像にはバスケチームのロゴだったり、チーム名が書かれたものが表示されています。それらには商標で守られているものもあります。商標で守られたロゴや名前が表示されているNFTを売買すると、商標権者にはどのような対価があるべきなのでしょうか?
特許の問題もあります。例えば、NikeはすでにNFT関連の特許を持っています。NFTの作成だったり、活用方法に関する特許が今後増えていくのであれば、特許侵害訴訟のリスクも増えてきます。そして、NFT関連の出願も今後増えていくことでしょう。
ライセンス問題はどうするのか?アーティストやブランドオーナーは自前でNFTを作って販売するよりも、専門業者にNFTの作成から販売、流通まで任せるかもしれません。その時に必要な知財のライセンス条項も当事者にとっては悩ましい問題です。
最後に、不正使用の問題です。第三者がオリジナルの芸術作品の作家に許可なく勝手にNFTを作って販売した場合、知的財産の侵害の可能性が出てきます。その時の権利行使の方法は?救済にはどのような方法がとられるべきか?権利行使できる組織は誰か?今は誰も正確に答えられる人はいないでしょう。
このようにちょっと考えるだけでもNFTの知財問題は山積みです。しかし、誰も答えをしらない。だからこそ、第一人者になってNFT専門家になれば、市場をほぼ独占できてしまいます。
2020年のNFT業界の時価総額の1%の事業に関わることができれば、3億ドルのビジネス。そこから仕事を取ってこれれば、十分食べていけるだけの収入は得られるはずです。また、この市場は今後も大きく伸びる可能性があるので、収益のポテンシャルは無限大です。