新しい商標メール詐欺を避けるために

商標情報は公開されているので詐欺に悪用されやすい傾向にあります。今までも商標に関する詐欺行為はありましたが、騙す技術も年々洗練されていっています。今回は、最近の商標関連のメール詐欺を中心に、商標に関する気をつけたい詐欺行為とその対策方法を解説していきます。


米国特許商標庁(「USPTO」)が、新しいメール詐欺のために悪用されています。詐欺師はUSPTOになりすまして、商標ファイルに不正な変更を加えるという新しい戦略を使っています。商標出願に関するメールを注意深くチェックする必要があります。メールで受け取った商標関連の請求書は、弁護士に確認せずに支払わないようにしてください。

商標ファイルの無断変更

思慮のない第三者がUSPTOのオンライン出願システムを利用して、審査中の商標出願や登録商標に変更を加えようとしています。例えば、記録されている主な電子メールアドレスの変更を申請しています。これが成功すれば、悪質な行為者はUSPTOからの公式な連絡をすべて受け取ることができてしまいます。さらに重要なことは、彼らが公式の代表者として行動し、出願や登録に関連して偽の申請を行い、関連する商標に関するビジネスメールの受信を流用することができるということです。

USPTOは、詐欺師が模倣品を認証させようとして、このスキームに関与している可能性があると助言しています。一部のオンラインストアでは、USPTOの公式の代表者に送られる認証コードがないと有効化できないブランド登録を使用しています。偽造者は、代表者のアドレスを変更することで、コードと正規品(または正規品ではない)に関する問い合わせを傍受することができます。しかし、この詐欺は製品メーカーに限ったことではありません。サービス業をはじめとする幅広い事業体が狙われています。

USPTOのなりすまし

USPTOは最近、公式に見えるメールの新たな変化について警告しました。このメールは、USPTOの公式アドレス(noreply@uspto.gov)を詐称しているため、USPTOから直接送られてきているように見えます。このメールは、USPTOが「クライアント」登録を義務付ける新しいポリシーを持っていると偽っており、違反した場合には罰則が科せられると主張しています。また、偽のUSPTO手数料を請求することもあります。

偽の勧誘

商標所有者は、偽の勧誘を受け続けています。例えば、米国や海外の偽の商標登録機関からの勧誘、登録の更新や再発行を(不必要に)提案するもの、失効したとされるが実際には正常な状態にある登録に関する誤報などが考えられます。このような勧誘は説得力があるように見え、しばしば、商標出願を維持するために満たさなければならない短い「期限」を主張しています。

USPTOは、偽の勧誘や通知で米国の商標所有者に連絡を取ることで知られている団体のリストを掲載しています。このページには、リストに掲載されている各企業から送られてきた詐欺的な勧誘の例へのリンクもあります。

重要なポイント

ほとんどの公式な商標に関する通信は、弁護士を介して行われます。そのため第三者から送られてくる商標関連のメールを疑って、弁護士に転送して確認してください。

解説

詐欺はいつでも起こります。そのためその時々のトレンドや手口を十分に理解して、詐欺師に引っかからないようになるべく早い段階で詐欺行為に気づく必要があります。

商標の出願人や権利者、そして権利の期間などは公開しているので、その情報が悪用され詐欺行為に使われることがあります。最近ではより本物のように作り込んだ偽物のメールや勧誘が来ることも珍しくないので、気をつけたいところです。

さらに最近では、オンラインの出願システムの「乗っ取り」も行われているようです。正規のアカウントが詐欺師に乗っ取られると大変なことになるので、オンラインの出願システムに関するパスワード管理を厳重に行うと共に、two-factor authenticationなどのセキュリティー強化を行っていくべきでしょう。

また、見に覚えのない請求やオンラインアカウント上の変更があった場合は、すぐに現地の代理人に確認し、不正がなかったかを確認することをおすすめします。

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まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Rachel Santori, Catherine Farrelly and Kimberly M. Maynard. Frankfurt Kurnit Klein & Selz PC(元記事を見る

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