AIの使用を想定したベンダーの成果物への対応とその契約条件の見直し

企業はベンダーから提供される成果物に生成AIの使用が含まれる可能性を認識し始めているものの、それが自社のビジネスにとってどのような意味を持つかを十分に理解しているところは少数でしょう。しかし、AI技術の利用が増える中で、法的課題も顕在化しており、特にAIによって生成されたコンテンツの取り扱いに関する規制や責任の所在が重要な焦点となりつつあります。

例えば、ある組織がサービスプロバイダに著作物の制作を依頼しており、その組織が、ベンダーの著作物を基に他者が複製、頒布、公に上演、または新たな著作物を創作することを排除する能力を重視している場合、その組織は、サービスプロバイダの契約に、生成AIツールの使用可否と使用方法に関する明確なガイドラインを組み込むことを検討するとよいでしょう。というのも、少なくとも現在のところ米国では、著作権局が生成AIのアウトプットに対する著作権保護を得るにはかなりのハードルがあることを明らかにしているからです。ソフトウェアは著作権法上の著作物であるため、これはアートワークやレポートを作成するための生成AIの使用だけでなく、ソフトウェア開発のためのジェネレーティブAIの使用にも適用されます。

関連記事: 米連邦地裁も著作権局に合意:AI画像に著作権なし – Open Legal Community 

知的財産権の問題だけでなく、ベンダーが生成AIを使用する場合、出力の正確性、信頼性、偏り、また機密保持、データプライバシー、セキュリティ、安全性に対するリスクに関しても課題が生じる可能性があります。ユースケースによって、得られるメリットも懸念される点も異なります(場合によっては、ほとんど懸念されないこともあります)。企業におけるAIの利用が拡大するにつれ、ユースケースに照らしてリスクを評価し、そのリスクに対応した調達慣行や契約条件を策定することがこれまで以上に重要になっています。

このようにベンダーとの関わり方は、企業のAIリスク管理とガバナンス方針を反映するために、2024年も進化し続けるでしょう。

参考記事:AI Trends For 2024 – Vendor Procurement Practices and Generative AI | MoFo Tech

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