特許庁が治療行為に対する特許適格性に関するメモを発表

メモを発行するきっかけになった訴訟

Vanda Pharmaceuticals, Inc. v. West-Ward Pharmaceuticals, Ltd., Nos. 2016-2707, 2016-2708 (Fed. Cir. April 13, 2018)において、CAFC は治療行為に関する方法クレームは 特許適格性(patent eligible)を満たすとしました。問題になった特許クレームは、schizophrenia を iloperidoneで治療するというもので、iloperidoneの投与量は、患者の遺伝子タイプによって調整されるというものでした。患者の遺伝子タイプが治療に使われる薬に対する代謝がよくなければ、副作用である心臓機関への影響を少なくさせるため、少ない量を投与するというものです。

医療関係の発明で問題になるMayo test

この訴訟では、特許適格性に関わる2ステップからなるMayo testをそのクレームが満たすかが問題になりました。Mayo testとは、1)クレームが特許として成立しない例外が対象になっているか?、2)そのような例外が対象になっている場合、その例外の適用を免れるような「何か」がクレームされているか?を審議して、クレームの特許適格性を判断する方法です。 Mayo Collab. Servs. v. Prometheus Labs., Inc., 566 U.S. 66 (2012). 「特許として成立しない例外」(the exceptions to patent eligibility)とは、最高裁の判例ベースで成り立っていて、laws of nature, natural phenomena, と abstract ideasを含みます。

この訴訟で、CAFC は、Mayo事件は、thiopurine metabolitesと efficacy/toxicityの関係に注目している検査方法で、特定の投与量を処方することを必要としていないとして、本件と差別化しました。Mayo事件とは対象的に、本件のVandaのクレームでは、schizophrenia の治療には特定の投与量が必要で、薬、患者の代謝、心臓機関への副作用の関係の応用に値するとしました。

CAFCの判決から特許庁がガイドラインを作成

このVandaにおける判決、また他の特許適格性に関わる2つの判決(Finjan Inc. v. Blue Coat Systems, Inc., 879 F.3d 1299 (Fed. Cir. 2018) and Core Wireless Licensing S.A.R.L. v. LG Electronics, Inc., 880 F.3d 1356 (Fed. Cir. 2018))を元に、特許庁は2018年6月7日にメモを発表し、すべてのクレームをする上で、治療方法に関する分析フレームワークが書かれていた場合、特許適格性を満たすとしました。(claims as a whole are to be examined and outlining an analytical framework for method of treatment claims that should enable appropriate claims to pass the eligibility threshold in a streamlined fashion.)特許庁によるCAFCの関連判決の解釈によると、CAFCは治療方法に関するクレームは自然の関係を応用したものであるため、Mayoステップの1で「例外」扱いにされず、よって、治療方法に関するクレームに対して、適用が難しい Mayoステップの2で例外の適用を免れるような「何か」がクレームされているかを審査する必要がないとしました。

まとめ

この特許庁が発行したメモは、治療行為に関する方法特許を出願する出願人にとって有利なものです。このガイドラインに沿って、クレームを書けば、医療系の特許で大きな問題の1つである 特許適格性の問題を回避できます。

コメント

直接特許庁の業務に関わる判例が出た場合、特許庁はその判決を受け、審査基準や、手続き、考え方を変える場合があります。最近の大きな例だと、最高裁のSAS判決を受け、PTAB(特許庁内の機関)がIPRのPartial institutionを止めたことが印象的です。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:William K. Merkel, Ph.D.- Marshall Gerstein & Borun LLP (元記事を見る

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