これまではコンテンツを重視したアイデアを提案してきましたが、今回は既存のシステムをよりよくする仕組み作りを紹介します。今回のテーマはカンファレンスです。皆さんも継続して知財を学ぶために定期的にカンファレンスに参加すると思いますが、カンファレンスのいいところは実際に人に会えることですよね。でも、なかなな面識のない人と話すきっかけを作るのが難しい。そこで、今回はカンファレンスで見知らぬ人とも簡単につながることができる仕組みを考えたいと思います。
内容としては、カンファレンスの分析から始まり、カンファレンスの隠れた魅力を簡単に話してから、既存のカンファレンスがいかに初めての人に敷居が高い環境であるか説明し、その解決方法を別の業界をヒントに考えてみました。
では詳しく見ていきましょう。
カンファレンスというイベントの分析
いいところ:1日や2日で様々な専門家のプレゼンが聞ける。直接会ったり会話することができる。講師だけでなく、参加者とも情報交換ができる。知り合いやお客さんが参加してたら挨拶ができる。
課題:トピックの関連性が低いと仕事をする人が増える。隣にいるひとでも面識がなかったら話す話題に困る。知らない人が多い大きなカンファレンスに行くとぼっちになる。
カンファレンスは情報交換の場?

アメリカの知的財産系カンファレンスに何回か参加したことがあるのですが、特にAIPLAのAnnual Meetingなどの大きなカンファレンスでは各セミナーで真剣にスピーカーの話を聞いている人はごくわずかで、会場にいる人の過半数はパソコンで仕事をしているかスマホをいじっているように見えました。あと、会場の外でクライアントなのか友達なのかそんな人と話している人も多く見受けられました。
たしかに、カンファレンスで学ぶレベルの内容だったら専門家にとっては基礎的すぎたり、オンラインのクラスを取ったり地元の2時間ぐらいで終わるセミナーなどに参加すれば学べる内容だったりするものも多いので、カンファレンスではなかなか会えないお客さんや提携為ている事務所の人、知り合いなどと会って情報交換した方が有益なのはわかります。普段、メールや電話で話せないこともカンファレンスが開催されているホテルのバーとかで話せるし、そんな会話の方が、実際にカンファレンスで話されている話題よりも何十倍も有益なことがほとんどです。
カンファレンスは情報交換の場としての役割が大きいことがわかりましたが、長年特定のカンファレンスに参加していて、参加者にも知り合いが多く参加しているような場合は別として、初参加の人や全く知り合いがいない人などもカンファレンスにせっかく来ているので、比較的簡単にカンファレンス参加者とつながりを持てて、情報交換できたらもっとカンファレンスが面白く、有意義なものになると思います。
知り合いがいないとカンファレンスはつまらない
カンファレンスによっては主催者側が参加者の名簿をくれるところもありますが、大体は自分で誰が参加しているのかを把握しないといけません。でも、大きなカンファレンスになると知り合いが参加していてもわからない時もあるし、そもそも探すのが大変です。誰も知っているひとがいないカンファレンスに行くとぼっちになってランチや休憩時間の時に会場の周りを一人でうろうろしてしまいます。そんなカンファレンスにも多く参加した私ですが、それでも知らない人に何もバックグラウンド情報がないまま話しかけるのもハードルが高いです。
アプリで事前にマッチング?
今までのカンファレンスは閉鎖的で、参加している人と面識がないとつまらないものですが、アプリとカンファレンスを融合したら、この知り合いがいないからつまらないということを解消できるんじゃないかと思いました。スマホのアプリを使って「つながる」仕組み作りを作れれば、誰も知らないカンファレンスに参加しても、興味が一致する人を探せてその人と情報交換することができます。
この仕組み、どこかで見覚えありませんか?知らない人でも簡単なプロファイルをアップして、気に入ったらコミュニケーションが取れる仕組み。そうです。デーティングアプリ(出会い系アプリ)です。
デーティングアプリがカンファレンスには必要???

スマホのアプリには数多くのデーティングアプリがあります。特定のセグメントをターゲットにしたものも含めると50や100はあるのではないでしょうか?ちなみに私は妻とTinderというデーティングアプリで知り合いました。笑
これだけの数のアプリがあるということは、それだけ新しい出会いを求めている人が多く、ニーズが多彩かしているのがわかります。
カンファレンスには異性を求めて参加する訳ではないので、デーティングアプリをそのまま使うという訳ではありませんが、仕組みはとても魅力的です。つまり、知らない人同士が自分のプロファイルを作り、特定のアプリにアップする、それをアプリを使っている不特定多数の人が見て、気に入ったらLikeを押し、両方がお互いのことをLikeしたらアプリ上でコミュニケーションが取れるようになる、その後は場合によっては実際似合ったりできる仕組み。これは確立している仕組みでバーチャル(アプリで話す)とリアル(実際に会う)をうまく融合した例だと思います。
プロフェッショナルがつながれるアプリはすでにある

このデーティングアプリの仕組みをうまくプロフェッショナル用に展開したアプリは実はすでにあります。僕が使っているのはShaprというもので、Linkedinのプロファイルをとかを使えるようになっていて、気軽に身近なプロファイルと面識を持てるようになります。
たとえば、このShaprのカンファレンス限定版みたいなのを作れば、カンファレンスで「つながる」仕組み作りは簡単に作れると思います。
アプリでつながる次世代カンファレンスの形

イメージするとこんな感じです。まず、カンファレンスの期間中に新しい人と知り合いたい人に自分のミニプロファイルを作ってもらいます。レイアウトはShaprのものを参考にして、顔写真、名前、所属、役職、関心のあるテーマのタグ、ちょっとした自己紹介などなどを盛り込んだ10分もあれば作れるプロファイルで十分だと思います。
それをカンファレンスの1週間から数日前からカンファレンスが終わる期間まで、アプリの登録者の間で閲覧できるようにして、気に入ったらLikeを押してもらい、そうでなかったらNoとできるようにして、お互いにマッチングしたらまずはアプリ内で会話ができるようにします。
そして、カンファレンスの開催期間中は両方とも現地にいるので、実際にあって情報交換をしたり今後のために名刺交換とかして、次のビジネスチャンスとかを狙うのも仕組み的にはうまくいくのかなと思っています。
このようにアプリで事前に相手の素性を知れると実際にあったときも安心して話せますよね。アプリ上でコミュニケーションを多少取っておけば、話が合うか合わないかもある程度判断がつくので、話題にかけたり、興味が一致しない人と会うようなリスクを回避できます。
個人的にはカンファレンスの主催者側が積極的にこのようなアプリをサポートして、参加者の新しい出会いを応援してほしいと思っています。このように新しいつながりがカンファレンスで簡単にできれば、参加者同士のつながりが強まり、カンファレンスのコミュニティー感が増してくると思います。そうなってくれば当然、次回のカンファレンスにもリピーターで来てくれる可能性も増えるし、他のカンファレンスと差別化できて、参加人数も増えてくると思います。
まとめ
カンファレンスは実際にプレゼンを聞いて学ぶ場でもありますが、同業者とつながる場でもあるので、アプリを活用してオフラインで会う前にオンラインで「知り合う」ことで、新しいコネクションができ、より今後のビジネスにつながる情報交換ができると思います。