2018年8月16日、 CAF Cは35 U.S.C. § 315(b)における IPR 手続き期限は、訴訟の申し立てがserviceされた日から1年としました。 35 U.S.C. § 315(b)では、訴訟が起きてから IPR を申し込むまでの時間制限が明記されていて、1年となっています。今回は、その訴訟が“without prejudice”で取り下げられても時間制限が適用されるのかが問題になりました。 Click-To-Call Technologies LP v. Ingenio Inc. et al., No. 2015-1242 (Fed. Cir. August 16, 2018)
背景
このClick-To-Callは、Wi-Fi One, LLC v. Broadcomにおいて、PTABによる期限に対する判決も上訴可能な案件であるという判決があった後、その期限について扱った上訴案件第一号です。
判決
CAFC は、35 U.S.C. § 315(b)の条文に注目し、条文は、 IPR 申立人(つまり、訴訟における被告人)または、申立人のprivy、real party in interest が訴訟の申し立てのserviceを受けた日についてのみ考慮しているとし、後に、訴訟の申立人(特許権者)が後日、訴訟をwithout prejudice”で取り下げても、35 U.S.C. § 315(b)で定められた日には何も影響がないとしました。つまり、訴訟の申し立てが適切にserveされていたら、その後、訴訟が取り下げられても、35 U.S.C. § 315(b)で定められた1年という時間制限が適用されるとしました。
AIA以前の訴訟にも適用
ここで注意したいのが、今回のClick-To-Callで問題になった訴訟は2001年にあったもので、特許権者が自発的に without prejudiceで2003年に訴訟を取り下げています。つまり、IPRが作られたAIAが有効になる10年前の事柄が、 IPR の提出期限を限定する事柄になっています。
このCAFCの判決は、 PTAB における、“without prejudice”で取り下げられた訴訟は、1年の IPR 提出期限に当たるものではないという判決を覆すものになりました。(このようは PTAB の期限に関する判決は、Wi-Fi One判決以前では、 CAFC に上訴できませんでした。)
まとめ
この判決により特許訴訟で対象になった特許は、後に“without prejudice”で取り下げられたものでも、その訴訟における申し立てがServeされてから1年以内に IPR を提出する必要があります。これは、AIA成立以前の訴訟にも適用されるので、訴訟対象になっていた特許の大部分は、35 U.S.C. § 315(b)により IPR 提出まで1年の制限が発生することになります。現在訴訟中の特許に関しては、1年の期限を超えないように、早急にIPRの是非を検討してみてください。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Kyle A. Forgue and Matthew J. Gryzlo – Barnes & Thornburg LLP (元記事を見る)