IPRの申し立てはクレームと主張を吟味すべき

SAS判決以来、PTABはIPRのinstitutionを判断する際に裁量権を主張するようになりました。PTABにおけるInstitutionの判断は恒久的でなく、控訴できないので、IPRの申し立ての際は、チャレンジするクレームと主張を十分検討する必要があります。

1つの特許に3つのIPR

BIODELIVERY SCIENCES INTL. v. AQUESTIVE THERAPEUTICS, INC.において、SAS判決が下される前に、BioDeliveryという会社がAquestiveの1つの特許に対して3つのIPRを提出します。その3つのIPRには合わせて17もの主張がおこなわれていました。

Partial institutionへ

SAS判決以前のIPRだったので、PTABは各申し立てごとに1つの主張だけ審議を行うPartial institutionを行いました(それ以外の主張に関しては、institutionの条件であるa reasonable likelihood of prevailing on the meritsを満たしていないとしました)。その後、PTABは特許の有効性を示す判決を下し、申立人のBioDeliveryはCAFCに控訴。

上訴中にSAS判決が下される

CAFCで争われている間に最高裁によるSAS判決が下り、partial institutionができなくなったことを受け、最高裁のSAS判決を元に再度手続きを行うようCAFCはPTABに案件を差し戻します。

差し戻しでinstitutionの決断を変更

PTABは差し戻されたIPRを再度考慮し、すでに行ったinstitutionの決断を変更。主張されたすべての主張に対してIPRを行うのではなく、IPRのinstitutionそのものを拒否し、手続きを終了させました。

またCAFCへ控訴

このPTABの判決に対して、IPR申立人であるBioDeliveryはCAFCに控訴。PTABはすでに決定したinstitutionに関する判断を再度考慮することはできないという主張を訴えました。一方の特許権者であるAquestive は、35 U.S.C. § 314(d)において、institutionの判決は控訴できるものではないので、控訴自体が無効であると主張。

PTABの裁量権でinstitutionは決められる

CAFCは最終的にAquestiveの主張を受け入れ、控訴の破棄を認めます。その判決で、CAFCはPTABにはIPRをinstituteするか否かの裁量権を持っていて、たとえ “reasonable likelihood of success with respect to at least 1 claimed challenged”であっても、institutionを拒否することができるとしました。

更にCAFCは、残りの14の主張はinstitutionの条件を満たしていないとすでにPTABで判断されていて、たとえ審議されたとしても、特許有効という結果を変えるものではないであろうとしました。CAFCがこのような主張におけるIPRのinstitutionを強制していまうと、法律で明記されている特許庁の効率に影響をおよぼしかねないとしました。

まとめ

IPRのinstitutionの際、PTABの裁量権は重要です。たとえ1つのクレームや主張がinstitutionの条件にかなっていても、他のクレームや主張が条件に満たしていなければ、そもそもIPR手続き自体が却下されてしまうという自体になりかねません。この判例から、IPRの申し立てはクレームと主張を吟味すべきであって、無効にできるクレームと主張だけを選んで申し立てを行う必要があります。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Mark Rubinshtein, Ph.D., Nicole R. Townes and Paul Stewart. Knobbe Martens (元記事を見る

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