スタートアップのための知財戦略(その2)

スタートアップのための知財戦略(その1)で紹介しきれなかった残りの 6つのポイント (特許の期限を左右するイベントの特定、特許自体で収入を得る、特許を資産として扱う、政府資金を使った研究開発の注意点、規格、戦略の見直し)を紹介します。

特許の期限を左右するイベントの特定。アメリカでは、発明が公開もしくは販売(販売のオファーも含む)されてから1年以内に特許出願をしなければいけません。アメリカは世界的にもめずらしく「公開」イベントから1年以内の場合、特許を出願できる Grace period がありますが、他の国ではそのような仕組みがない場合もあるので、なるべく特許出願は販売や公開前におこなう必要があります。

特許自体で収入を得る可能性を考える。特許ライセンスや特許の販売そのものがビジネスになる場合もあります。有名どころでは、IBM は年間 $1 billion 以上のライセンス収入を上げています。特許を使うビジネスをおこないながら特許を売却する際は、継続してビジネスをおこなえるよう License back などを規約に盛り込み、売却特許に関するライセンスを取得する必要があります。

特許を資産として扱う。特許は株や土地とおなじような価値のあるものです。特許を取得するにはお金も時間もかかりますが、将来ライセンス費用、特許の売却、訴訟における賠償金など、将来にとても大きなリターンが期待できる投資資産でもあります。また、投資家からの資金を得るための説得材料にもなるし、買収される際にも特許の価値は重要な点になります。

政府資金を使った研究開発の扱いに気をつける。通常、政府資金を使った研究開発をおこなう場合、資金を提供した政府機関は発明(と発明に関する特許)に対する何らかの権限を持ちます。通常、自社で特許が得られますが、得られた特許は
政府にロイヤルティーフリーでライセンスするという形をとるのがほとんどです。しかし、内容は案件ごとに異なるので、資金を得る前に十分規約を確認し必要であれば契約する前に交渉をします。資金の出所によっては、せっかく特許をとっても、その特許を競合他社にライセンスしなければいけないような自体にもなりかねません。重要な研究開発をおこなう場合、資金がどこから来ていて、発明や知財の扱いに対してどのような規約があるのかを確認してから、活動をおこなうようにしましょう。

規格団体の影響。自社製品やサービスを普及させるのに規格団体に加入しなければ行けない場合、注意が必要です。ほとんどの規格団体はなんらかの知財に対するポリシーがあり、参加企業はそのポリシーに従う必要があります。規格に参加する場合、自社特許を他社に”FRAND” (fair, reasonable, and non-discriminatory rate) という基準に 応じてライセンスする必要が出てくるかもしれません。

戦略の見直し。スタートアップの場合、最初のビジネス計画のまま成長するよりも、環境によってビジネスモデルを変えていくことがほとんどだと思います。ビジネスモデルが変わるのと同じように、知財戦略もビジネスモデルの変化に合わせて変わっていく必要があります。提供する商品やサービスを変える際は、同時に特許戦略も見直すことが必要です。

この他にも、重要な市場と会社(と市場)の将来を考える、特許出願予算をもつ、ビジネスで重要な国を決める、発明を特定する、発明者の特定する、などのポイントがあります。この5つのポイントの詳細は、スタートアップのための知財戦略(その1)を参照してください。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:  Timothy Lohse and Brent K. Yamashita. DLA Piper  (元記事を見る

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