知財Due Diligenceのポイント(商標編)

企業を買収する際にはDue Diligenceが行われます。買収する企業に特許、商標、企業機密などの知的財産がある場合、そのような知財に対してもDue Diligenceを行う必要があります。今回は、商標に注目して商標のDue Diligenceを行うときのポイントをいくつか紹介します。

リストの完成度:商標の場合、買収に含まれる商標のリストがあると思うのでそこからスタートします。まずは、そのリストに今回の買収で含まれるべき商標がすべて含まれていることを確認してください。もし含まれるべきものがリストに入っていなかったら売り手に確認します。特に、出願している権利化途中のものはリストから漏れることが多いので、出願中の案件は特に注意深く確認する必要があります。

記録の正確性:次にリストに書かれている情報が公式のデータと一致するか確かめます。アメリカの商標の場合、USPTOのデータベースで登録内容を確認できます。買収により譲渡が予定されている商標の所有者、マーク、出願番号、登録番号、出願日、登録日などに誤記はありませんか?もしあれば買収前に修正手続きを取ることをおすすめします。また、アメリカ以外の国でも商標登録されている場合、同じように各国ごとに確認します。国によっては確認も大変だと思うので、商用のデータベースなどでまとめて確認するもの手です。また、実際に使っているマークの特定といつから使い出したか売り手側に確認しておくのも重要です。その際は、証拠となるようなデータや資料も確認してください。

権利者の履歴(chain of title)の確認:次に各商標の権利者の履歴に注目します。ここでは、最終的な権利者が売り手になっていることと、すべての権利が売り手側にあることを確認し、履歴が正確に記録されていることを確認します。特に、権利者の名義のミススペルや所在地、組織のタイプなどに間違えがあれば、買収前に訂正しておくことをおすすめします。

クラスの確認:商標には登録時に商標がどのような商品やサービスに使われるか指定してあります。登録してあるクラスと現在の商標の使用はマッチしますか?また、商品やサービスの説明は正確なものですか?適切なクラスが指定されていなかったり、重要な製品が含まれていなかったりしては商標の価値はないので、必要であれば買収前に訂正しておくことをおすすめします。

出願中の案件の移行期間中の対応:現在出願中の案件で、買収前後に Office action 対応しないと案件はありますか?もしある場合、買収で Office action 対応が滞らないように手配しておくことが必要です。

更新期限が近いもの:商標の中で更新期限が迫っているものはありますか?買収による移行期間中に権利が抹消しないよう、更新手続きをスムーズに行う手配をしておくことが必要です。

海外における権利者変更手続きに必要な書類をチェック:アメリカでは比較的簡単に商標の権利者変更手続きができますが、国によっては様々な書類が必要になってくることがあります。特に売り手側からの書類が必要になってくる場合、買収前に売り手側と協力して書類を作成しておくとスムーズに進みます。買収が完了する前に、商標を持っている国ごとの権利者変更手続きを確認し、必要となる書類を事前に作成しておくといいでしょう。

訂正手続きは買収前に行う:上記のようなプロセスでDue Diligenceを行うと誤記が見つかるはずです。そのような誤記は基本いつでも訂正できますが、手続き上、買収前に売り手側が訂正手続きを行った方が簡単です。なので、買収後の権利者変更手続きをスムーズに行うためにも、買収前に売り手側に誤記を修正してもらうようにしましょう。

まとめ

企業を買収する際のDue Diligenceは大切です。知財の商標Due Diligenceだけでもこれだけ確認すべきポイントがあって商標の規模によってはとても時間がかかるプロセスになっています。買収の手続きが完了するまでの期間があらかじめ決められていることもあるので、Due Diligenceは速やかに、しかし、確実に行う必要があります。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Jennifer Criss. Drinker Biddle & Reath LLP(元記事を見る

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