2020年2月15日から、USPTOにおいて、商標の電子出願の義務化とEmailの登録義務化が始まりました。このため、新規商標出願時に、代理人弁護士を雇っていても、出願人のメールアドレスの提示が義務化されました。
OLCで過去に取り上げた今回の商標出願ルール変更に関する記事は、ここを参考にしてください。
目的
今回のメールアドレスの登録義務化は、代理人の代理期間が終わっても、USPTOが商標権者にコンタクトを取れるようにするためです。
注意点
2020年2月15日以降の出願で、この新しい義務に従わなかった場合、出願日がもらえません。なので、出願時に出願人のメールアドレスが記入されていることはとても大切な確認項目になります。
また、このメールアドレスの登録義務化、新規出願だけでなく、出願済み案件、登録商標、Trademark Trial and Appeal Board (TTAB)係争案件を抱えている権利者や当事者にも適用されます(少数の例外を除き)。更に、拒絶通知の対応、商標の維持、その他諸々の諸手続の際にもメールアドレスを記入しないといけないので、アメリカで商標をもっている・または、検討している会社では、すぐに対応する必要があります。
登録できるメールアドレス
基本、個人のメールでも大丈夫ですが、管理やコンプライアンスの面から、会社の社内メールを登録するのがいいでしょう。例としては、社内弁護士や法務の担当者のメールアドレス、事業主や役員のメールアドレスなどでもいいですが、メールアドレスは公開されるので、専用のメールアドレスを作るか、一般的な窓口用のメールアドレスを使うのがいいと思います。
気をつけたいこと
社内のメールアドレスであっても、個人のメールを使うと、公開情報が悪用されて、スパムメールは悪質なメールがその個人メールアドレスに来る可能性があります。また、メールアドレスの名前の表記方法などから、他の会社従業員のメールアドレスの推測にも利用されかねません。
また、登録されたメールにUSPTOを装ったメールが来て、入金の催促や機密情報の入力を求めてくるかもしれません。そのような時に、誤って送金したり、社内の情報を漏洩させないよう、担当者には十分サイバーセキュリティの教育を行っておく必要があります。
まとめ
今回の変更で、社内のメールアドレスを登録しなければいけませんが、公開情報になるので、意図しない形でメールアドレスの情報が悪用される可能性があります。また、特許庁になりすまして登録したメールアドレス宛に通知が来るかも知れません。そのような場合に備え、登録するメールアドレスを選び、また、だましメールなどのサイバーアタックにも対応できるよう、担当者を教育する必要があります。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Olivia M. Clavio. Barnes & Thornburg LLP(元記事を見る)