知財が経済に与える影響は非常に大きく、その成長もすさまじいものがあります。2016年にアメリカ特許庁から発行されたレポートによると、2014年のアメリカGDPの40%近くが知財が重要な市場によるものだったという報告がなされています。このような流れから知財への意識が高まっていますが、正しい理解と行動につながっておらず、知財への意識と理解には大きなギャップがあることがわかりました。
例えば、今年の4月にthe Center for Intellectual Property Understanding (CIPU)が発表した知財に関する意識と姿勢に関するレポートによると、消費者の多くが知財権の重要性を知っているものの、事情によっては知財権を回避するような行動に出る傾向が示されています。また、知財権の恩恵を大きく受けるビジネスマンであっても知財権が具体的にどのようなものでどのような恩恵をもたらすものなのかを理解していることが少ないことが示されました。
レポートによると、多くの人は知財の重要さを認識しているにもかかわらず、模倣品などを購入している事実が明らかになりました。また、アメリカのエンジニアリングで有名な大学の学生でも20%以上の学生が特許とはどのようなものか?という問いに対して正確に回答できなかったという報告もなされています。
また、若い学生の方が知財への意識は高いですが、その意識とは裏腹に、違法ストリーミング配信などを積極的に利用しているなど、知識と行動に大きなギャップが存在しています。
似たようなギャップはビジネスの世界でも起こっています。例えば、2015年のイギリス特許庁によるリサーチによると、中小企業の94%以上が自社の知財の重要性を認識しているにもかかわらず、その内の96%は自社の知財に何も価値評価を行っていませんでした。その一方で、大企業になると知財管理システムなどへの投資がより行われているので、中小企業にはそのようなシステムを導入するのがコスト面で難しいのでは?という結論に至りました。
まとめ
このような知財への意識と理解のギャップがあるということは、より活発的な知財の啓蒙活動の重要性を示しています。また、模倣品の取り締まりなど、世界的により知財権の行使が行いやすい環境作りも重要になってきます。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Dennemeyer & Associates SA (元記事を見る)