Google v. Oracleから垣間見るソフトウェア保護のあり方

今、アメリカ最高裁がソフトウェアの知財保護に関して係争中のGoogle v. Oracleに対してどのような対応をするかが注目されています。最高裁がGoogleによるペティションを却下、もしくは最高裁でOracleに有利な判決が出されるとソフトウェア侵害関連の訴訟数が急増することが予想されています。

背景

現在、最高裁はこの案件をどう取り扱うか検討しています。CAFCにおける判決ではGoogleによる大部分のJava ソフトウェアのコピーは著作権法上、fair use には該当しないとし、Javaを作ったOracleに有利な判決を下しています。

しかし、今日JavaScriptなどで作られたAPI(Application Programming Interface)はソフトウェア開発には欠かせないもので、ソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインタフェースの仕様であるため、著作権の保護はそのようなAPIに及ぶべきではないとGoogleは反論しています。

Google v. Oracleの影響

Google v. Oracleは今後ソフトウェア業界に大きな影響をおよぼすと考えられています。特に、最高裁がGoogleによるペティションを却下、もしくは最高裁でOracleに有利な判決が出されると、今後ソフトウェア開発者は自前のAPIコードを作成するか、または、Oracleや他社に彼らのAPIコードを使用するライセンス費用を支払う必要が出てくる可能性があります。

APIはソフトウェア開発に欠かせないものになっているので、上記のような開発現場になってしまうとアメリカにおけるソフトウェア開発自体が収束してしまう恐れもあります。

Google v. Oracleはお金が問題じゃない

このようにGoogle v. Oracleがどう終息するかによってはソフトウェア開発というアメリカの巨大産業の1つが大きく変わる可能性を秘めています。この訴訟は主導権の争いです。ソフトの作り手とその使用者、そのどちらにどれだけの力を与えるべきか、それがこのGoogle v. Oracleでは問われています。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Craig S. Horbus – Brouse McDowell(元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

特許出願
野口 剛史

Non-DOCX追加料金延期で今からでも間に合うベストプラクティス

米国特許商標庁(USPTO)は、2023年4月3日から、DOCX形式以外で出願されたすべての出願に追加料金を適用することを決定しました。USPTOは当初、追加料金の発効日を2023年1月1日と発表していましたが、実施予定日のわずか数日前に実施を3ヶ月間延期しています。延長されたものの、現在DOCXを使用していない実務家は、DOCX出願プロセスへの対応を進め実施日に備える必要があります。以下は、新しいDOCX出願要件に対応するための推奨ベストプラクティスです。

Read More »
change
訴訟
野口 剛史

大きな変化の兆し?海外の直接侵害が損害賠償に加算され賠償金が数倍に膨れ上がる?

連邦地裁の判事が最高裁の WesternGeco 判決を受け、海外における直接侵害が損害賠償に加算されるという見解を示しました。もしこの見解が正しいなら、35 U.S.C.§ 271(f)におけるInduced infringementでの特許侵害という特殊なケースにしか適用されないと思われていたWesternGeco 判決が一般的な35 U.S.C.§ 271(a)における直接侵害にも適用されることになります。

Read More »
binders-filings-data-record
再審査
野口 剛史

PTABがinstitutionに関する3つの判決を特定

最高裁のSAS判決後、PTABはIPRのpartial institutionができなくなりましたが、その代わりとなる裁量によるinstitutionの判断を多く取り入れるようになりました。今回はその流れから、新たにPTABは以下のinstitutionに関する2つの判決を判例扱い(precedential)し、1つを有益なもの(informative)として指定しました。

Read More »