Apple v Samsungのスマホ訴訟でデザイン特許が注目を集めて以来、デザイン特許が見直されてきています。ライフサイエンスの分野においても様々な医療器具に関連するデザイン特許が出願されています。
一般的なUtility特許とは大きく違う
デザイン特許は、一般的なUtility特許とは異なり、発明の「装飾的な特徴」(ornamental features )を保護するものです。デザイン特許の保護範囲は、特許に示されている図によって決まります。また、有効期限は20年ではなく、15年です。
数は少ないが無視できない知財
アメリカ特許庁は、年間25,000件ほどのデザイン特許を発行します。数字的にはUtility特許の数を大きく下回りますが、Apple v Samsungのスマホ訴訟で、デザイン特許侵害に対する多額の賠償金が認められたことを背景に、デザイン特許への注目が年々高まっています。
デザインは「美しく」なくていい
デザインと聞くと美しくなければいけないと思うかもしれませんが、デザイン特許を得るために美しい(aesthetically pleasing)必要はありません。デザイン特許は、製品の機能によって必然的に決まるものでなければ、どのようなデザインでも保護できます。
ライフサイエンスの分野での活用範囲は幅広い
デザイン特許による保護が適切なライフサイエンスの分野は広範囲に及びますが、例を挙げると以下のようなものがあります。
- bone or dental implants,
- diagnostic devices,
- laboratory consumables,
- prosthetics,
- cosmetic skin treatment devices,
- medical/laboratory protective clothing, and
- graphical user interfaces in software components.
元記事には実際にデザイン特許で保護されている数々の医療機器の例を見ることができます。
費用も安い
デザイン特許はUtility特許に比べ、費用も安く、比較的簡単に、早く権利を取得できます。しかし、出願時には、デザイン特許のクレーム範囲等を慎重に検討し、関係のない詳細は排除するなどの侵害回避を簡単にさせない工夫も必要です。
Utility特許と相性がいい
Utility特許は技術的な発明を保護し、デザイン特許は発明の「装飾的な特徴」を保護するので、相性がよく、両方取得しておくことで、製品や技術の知財ポートフォリオのさらなる充実を図ることができます。
特に、開発や認証などに多くのリソースがかかる医療器具にとって、知的財産は重要資産であり、模倣品を防ぐための手段の1つでもあります。そこで、一般的なUtility特許に加え、対象の医療器具に対するデザイン特許を取得しておけば、より強固な参入障壁を築けることでしょう。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者: Lisa M. Mandrusiak. Oblon (元記事を見る)