特許データベースの今

特許データベースは、特許性や営業の自由度の評価、侵害リスクの検出と管理、競争状況の分析など、知的財産関連業務を行う上で主要な柱となっています。今回はそんな特許データベースについて考察してみます。

PatBaseやDerwent Innovationなどの特許データベースは、60以上の特許庁から英語または各国語/地域語によるグローバルな特許データを提供しています。これらのデータベースでは、テキスト、分類、譲受人または発明者名、日付による広範囲な検索が可能です。さらに、これらのデータベースは、Derwent World Patents Index™ (DWPI)やDerwent Patents Citation Index™などの強化されたタイトル、抄録、引用データにアクセスすることができます。その他の便利な機能としては、英語以外のテキストの英語への変換、特許文書の特許ファミリー下でのクラスタリング、特許の法的ステータス情報、データの最大限のカバレッジ、タイムリーな更新などがあります。有料のデータベースに加えて、多くの特許庁(USPTOなど)は、リポジトリ内の特許文書を特定するための様々なオンライン検索ツールを提供しています。

そのためデータベースプロバイダーは、必要なデータを様々な角度から検索できるユーザーフレンドリーなインターフェースを備えた広範な検索機能を提供しなければなりません。理想的なデータベースは、キーワード、クラス、引用、法的地位に基づいて特許文書を検索するために、より複雑で強力なクエリを構築することができます。また、セマンティック検索や企業ツリー検索などの高度な機能を備えている必要があります。

検索機能以外にも、特定のタスクを実行するために適切なデータベースを選択する際には、サブスクリプションコスト、メンテナンスサービス、アップグレード、データダウンロードの制限、応答時間などの要素が考慮されます。そのため、特定の目的のために利用できる専用のデータベースが必要になります。例えば、意匠特許の検索は、実用特許文書のキーワードベースの検索とは異なるため、意匠特許の検索を提供するデータベースは、一部のユーザーにしか使用されません。そのようなデータベースは、ロカルノ分類、米国意匠、または他の意匠分類に基づく索引付けに基づいて動作します。このようなデータベースは、データの特殊性を考慮して開発されています(例えば、STNプラットフォームを利用したMarkush特許検索用のMARPATデータベースや、米国特許文献に開示されている遺伝子配列検索用のUSGENEデータベースなど)。一部のデータベースでは、技術者による手動分析も可能です。Scopusは公開された論文を手動で分類し、Derwentは技術要約、要約、特許のタイトルを手動で記述しています。このように人と機械の作業を組み合わせることで、ユーザーにとって分析が容易になり、より費用対効果が高く、時間効率の良いプロセスを実現しています。

いくつかのプラットフォームは、1つのウィンドウから複数のデータベースにアクセスできるように設計されています。例えば、STNは、世界的に開示されている特許および非特許、科学技術コンテンツの最新かつ完全なコレクションへの統合的なアクセスを提供しています。このようなプラットフォームでは、様々な組織に属するデータベースへのアクセスを提供しています(例えば、Chemical Abstracts Serviceの化学コンテンツやDWPIの特許コンテンツなど)。

有料のデータベースサービスとは別に、特許文書や非特許文書を検索できる無料のデータベースもいくつかあります。Google Patentsは、米国、ヨーロッパ、オーストラリアを含む様々な国の特許を全文翻訳した特許検索エンジンを提供していて、ナビゲーションが簡単で、容易に利用でき、無料で利用できる世界的なデータベースです。検索は、検索語、日付、譲受人、発明者などを使用して行われ、同様の特許検索も提供しています。また、ユーザーが様々な特許の数字に注目したい場合は、検索結果を分離することも可能です。特許検索インターフェースは、中国語、英語、フランス語を含む多言語で利用でき、英語、フランス語、ドイツ語での全文検索も可能です。特許協力条約の出願は、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、ロシア語、スペイン語でアクセスできます。興味深いことに、無料で使えるデータベース「Patent Lens」は、特許文書に開示されている8000万以上のDNAやタンパク質の配列を検索することができる注目すべき機能を提供しています。他にも、USPTO、Espacenet、PatentScopeなど、世界中のユーザーから高い評価を受けている無料のデータベースがあります。

多くの企業が、検索や分析のための手作業を最小限あるいは全く必要としない、簡単で見やすいデータの可視化、データの解釈、その他のデータ分析を提供するために、様々なサービスを提供し始めています。このようなサービスは、先行技術の検索レポートや、AIまたは機械学習に基づくランドスケープ・クラスタリングに活用することができます。これらの中には、引用された特許の詳細な可視化を提供する引用マップ、特定のドメインにおける特許の強さの正確なビュー、ホワイトスペースを見つけるための世界中の組織による発明間の関係性、およびモニタリングサービスを提供するものがあります。例えば、Derwent Innovationは、特許出願、特許収益化、ライセンシングをサポートすると主張しています。PatSeerは、有益なチャート、カスタムフィールド、階層的な分類、引用とファミリーツリー、共同引用分析などを使用した多次元分析のユニークな機能を持っていると主張しています。これらのサービスは、研究者や企業が短い時間内にドメインや発明の範囲を把握するのに役立ちます。

サードパーティの特許データベースは、特許文献や非特許文献を分析するのに便利なツールです。この競争時代にあって、複数の組織が複数の問題を対象とした独自のサービスを提供しています。しかし、これらのデータベースの有用性を高めるためには、まだ大幅な変更が必要です。データベースのインターフェースを改善して、特許・非特許データの自動検索やクラスタリングを準備し、意味のある洞察を導き出すことができるようにするのです。このようにして、フールプルーフな自動化の要求に応えることができ、知的財産産業の様々な垂直性を生み出す機会を提供することができるでしょう。

解説

私は特許検索のプロではありませんが、日々の簡単な調査によく検索ツールを使います。といっても、検索に使っているツールのデータベースがどのようなものかはあんまり意識していないのが正直なところです。

普段は、Google PatentsのUIが好きなのでよく使っていて、分析が必要だったりもう少し細かく見ないといけない場合は、会社が契約している有償の検索ツールを使っています。

皆さんはどのようなツールを使っているのでしょうか?良かったらコメントに書いて教えてください。

ただ言えるのは、ツールの進化には目を見張るものがあります。AIや機械学習に基づくランドスケープ・クラスタリングなどは人力では難し方ことも可能にしてきています。数年前に比べると検索のプロに任せていた仕事が、ツールの進化によって民主化され、サーチャーではない私のような知財部員にもデータへのアクセスがより身近なものになっていることを実感しています。

現時点で実務で使えるレベルになっているツールは少ないかもしれませんが、技術の進歩スピードを見ると、次の数年でAIや機械学習に基づく特許検索ツールは当たり前に使われてくるのかもしれません。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Satish Kumar, Anoop Dimri. Effectual Knowledge Services Pvt Ltd (元記事を見る

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