An illustrative depiction of the intersection between generative AI and the legal industry, showing a balanced courtroom scene with futuristic AI elements on one side, including a glowing digital brain and screens displaying legal data, and traditional legal symbols such as a gavel, law books, and the Scales of Justice on the other. A figure of a lawyer stands in the middle, symbolizing careful contemplation of integrating AI into legal practices

生成AI時代の実務利用における懸念点とAIの立ち位置

生成AIの進化は、法律業界に革新と挑戦の両方をもたらしました。弁護士はこの新技術を研究ツールとして活用しはめていますが、その使用には慎重さが求められます。最高裁判所長官の報告やUSPTO長官のメモから、実務におけるAIの利用で問題視されている事柄を確認してみましょう。

最高裁長官も生成AIの利用について言及している

昨年来の生成AIの台頭により、弁護士が法律研究のためにこの先端技術を利用するのは当然のことです。しかし、AIが生成したコンテンツを盲目的に受け入れてしまうという懸念が高まっています。この問題は、ジョン・ロバート連邦最高裁判所長官が2023年に発表した連邦司法に関する年末報告書でも取り上げられています。注目すべき事件としては、ChatGPTによって幻覚化された実在しないケースに言及した準備書面を適切な検証なしに提出したとして、第2巡回区がニューヨークの弁護士を叱責したことが挙げられます。

関連記事:ChatGPT事件で架空の判例を提出した弁護人たちが制裁を受ける:本質はAI問題じゃない?

架空の存在しない判例をChatGPTが作り出し、事実確認が取れないまま裁判所に提出した弁護士たちの事件は、法曹界に大きな衝撃を与えました。今回その事件に関する審問と制裁判決があったので、その詳細を解説します。この問題は表面的にはAIツールの誤操作・過信のように見えますが、審問と判決内容を見るとそうではなく、ミスを指摘されたときに隠蔽しようとウソをついたことが本質的な問題です。そのウソがウソを呼び、取り返しのつかないところまで膨れ上がったという、弁護士として(そして人間として)のミスをしたときの対応に問題があり、そこが制裁でも重視されていたことがわかります。

PTABやTTABでも生成AIの利用は懸念されている

この憂慮すべき傾向を受けて、米国特許商標庁のカティ・ビダル長官は2月6日に覚書を発表し、法的な場面におけるAIの適切な使用と不適切な使用の両方に対処するためには、現在の仕組みで十分であることを確認しました。ビダル長官は、今後数ヶ月のうちに、より詳細な指針を発表する予定です。メモでは、PTABやTTABにおいてAIを活用することによってコストを削減する可能性を認めています。しかし、AIの誤用についても懸念を示しており、無関係な出典の引用など、以前連邦裁判所で見られた問題との類似性を指摘しています。

ビダル氏のメモでは、当事者に手続の完全性を維持することを求める既存のUSPTO規則が、AIが作成した提出書類にも同様に適用されることを強調し、これらの規則は「提出書類がどのように作成されたかに関係なく適用され…単にAIツールの正確性を仮定することは合理的な調査ではない」と述べています。

AIは補助ツールであることを認識するべき

生成AIの商業的利用が本格的に始まってから1年近くが経ち、生成AIが革新をもたらす一方で、事実と異なる情報(「幻覚」)を生成する傾向があるなど、限界もあることは明らかです。弁護士にとって、生成AIは、徹底した法的手続きの代替物ではなく、補助的なものと捉えるべきです。生成AIに過度に依存することは、判例の有効性を確かめずに事例を引用することに匹敵し、重大な見落としとなります。

USPTOは、生成AIが法的プロセスをより利用しやすくし、費用対効果を高める可能性を認識していることから、生成AIの利用を禁止するつもりはないようです。したがって、今後のガイダンスの方向性は不透明ですが、USPTOはAIが生成したコンテンツを悪用した場合により厳しい罰則を科すことを検討するかもしれません。そのため、生成AIの活用は慎重に行い、品質管理をしつつ、実務に適用させていくことが重要になってきます。

参考記事:USPTO Sets to Clarify Attorney Guidelines in the Age of Generative AI | Gadgets, Gigabytes; Goodwill Blog 

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