2014 年の Octane 事件後、アメリカの特許訴訟において、弁護士費用賠償の申し立てが 急増し、成功率も上昇した。
弁護士費用賠償制度は、米国特許法(35 U.S.C. §285)に明記されているが、Octane 事件以前は弁護士費用を肩代わりさせることは難しかった。
しかし、Octane 事件(Octane Fitness, LLC v. ICON Health & Fitness, Inc., 134 S. Ct. 1749 (2014))において、最高裁は「例外的な事件」(exceptional cases) に対して地裁は全体 的な状況(considering the totality of the circumstances)を考慮し、地裁の裁量で弁護士 費用賠償を認めるか判断するべきとした。
統計データを調べると、Octane 事件以前の 2011 年では 86 件の弁護士費用賠償の申し 立てがあり、成功率は 23%ほどだった。特に、Octane 事件の前 12 ヶ月間における成功 率は 13%と落ち込んでいた。
しかし、2014年の Octane 事件後、状況は大きく変わった。
Octane 事件後およそ2年間で 206 件の弁護士費用賠償の申し立てがあり、成功率は33%と急上昇した。
このような統計データから、Octane 事件が「例外的な事件」(exceptional cases)の基準を下げ、申し立ての数を急増させたことが明らかになった。 例外的な事件か否かは、地裁判事の裁量で決められるため、裁判所選び(forum shopping)に影響を与えそう。
Forum shopping (裁判所選び)— 原告が自分に有利な裁判所を選び、訴訟を提起すること。
弁護士費用賠償の額として$100 万ドル以上が認められることもめずらしくはない。し かし、どのようなものが「例外的な事件」として扱われるかは一概には言えない。
まとめ作成者:野口剛史
元記事著者:Lionel M. Lavenue, R. Benjamin Cassady, Sean D. Damon. Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunner, LLC. (元記事を見る)