AI特許を評価するときの3つの注意点

AIのような新しい技術の特許評価をする際、適切に評価する(Due diligence)にはいくつかポイントがあります。今回はその中から必ずチェックしたいポイントをまとめました。

AI技術への投資をしている会社やそのような会社の買収を考えている企業は、会社が持っている特許を入念に調べ評価するDue diligenceという作業が必要になってきます。AIは新しい技術ということもあり評価は難しいですが、特に以下の点に注意してみてください。

一番気をつけてほしいのがAI特許の有効性です。ほとんどのアルゴリズムは今や古典的なものになってしまいました。先行例で似たようなアルゴリズムが開示されていて、AI特許と先行例の違いが「AI」だけの場合、有効性を疑うべきです。先行例との違いが明確でなければ、AI特許には自明性がないと判断される可能性があります。有効性が危ういとそれだけIPRなどで特許を無効化されてしまうリスクが高まります。

2つ目は、AI技術を新しい用途に使うというような特許は進歩性に欠けることがあることです。これも1つ目のポイントに似ていますが、すでに「新しい用途」が先行例で開示されていて、「AIの応用としては新しい用途」である場合、進歩性に欠ける場合があります。

3つ目に、トレーニングデータに価値があるなら特許申請をしてはいけないという点です。AIの善し悪しは、AIを教育するトレーニングデータの質によって大きく変わります。しかし、AIのアルゴリズムや用途と違い、トレーニングデータは特許では守れません。その理由はトレーニングデータ自体がデータで発明の要素というものがないからです。そのようなトレーニングデータに価値がある場合、特許ではなく機密情報として社内で管理・運営していく必要があります。

トレーニングデータそのものではなく、トレーニングデータの選び方や洗練方法の場合、方法特許をとれるかもしれませんが、そのような方法特許の侵害を証明するのは難しいので、トレーニングデータの選び方等も機密情報として社内で 管理・運営していったほうがいいでしょう。

AI自体は素晴らしい技術で、特許も多く出願されているので、今後は知財の分野でもAI技術に関する仕事が増えてくると思います。しかし、上記のような技術的な特性や特許法上の問題点などを見逃してしまうと、いい仕事ができないので、AIの特許評価を依頼された場合、少なくとも上記の3つの点については注意して見るようにしてください。

AI特許の評価をしたことはありますか?

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Paul C. Haughey.  Kilpatrick Townsend & Stockton LLP (元記事を見る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

追加記事

最近では猫ミームなど、ミームはインターネットカルチャーの定番となっていますが、その広範な配布は著作権や知的財産権に関する重要な問題を提起しています。このブログでは、ミームに関連する著作権法の複雑さについて掘り下げ、クリエイターとユーザーが著作権侵害、フェアユース、所有権といった知的財産に関わる問題をどのようにナビゲートするのかを探ります。
特許において、特許発明者の正確な特定は極めて重要です。Tube-Mac Indus., Inc.vs Campbell事件は、特に特許への貢献が複数の当事者からなされた場合に、発明者の定義とすべての発明者を特定する重要性を再認識する好例です。この記事では、このケースの分析を通じて、課題解決した当事者の重要性と共同発明者を特定するアプローチについて掘り下げます。
ニューヨーク州弁護士会はAI技術の法的・倫理的影響に対する新ガイドラインを提供しました。このガイドラインは、弁護士によるAIの適切な利用と潜在的リスク管理に焦点を当て、今後のAI法律業務における教育と規制の強化を推奨しています。80ページにもわたるレポートには、AIが今後どう弁護士業務を変えていくかについて詳細に書かれており、今後NYだけでなく、アメリカの各州におけるAIの弁護士倫理ガイダンスに大きな影響を与えることが予想されます。