3MがN-95マスクへの3Mマークの悪質な使用に対抗するためにランハム法を継続的に使用

3Mには頭がいい商標弁護士さんがいるようですね。3Mは貴重な医療グレードのN-95マスクの不正転売や3Mのブランド力を悪用した詐欺行為に商標で対抗しています。商標を有効に活用できれば、短時間で差し止めや仮処分も行えるので、パンデミックに乗じた不正行為に対抗するツールとしてはとても優秀です。

重要な N-95 マスクの製造会社である 3M 社は、この数ヶ月間、マスクの需要を利用しようとする個人や企業からの防御のために、商標法に何度も目を向けてきました。3M社は、詐欺、価格の暴落、偽造に対抗するため、10件以上の連邦および州の訴訟を起こしています。これらの訴訟のうち5件では一時的な差し止め命令が出され、3件では仮処分命令が出されています。

最近では、3Mは元海兵隊員のMatthew Starsiak氏と彼の会社であるAMK Energy Services LLCをミネソタ連邦裁判所に提訴しました。3Mは、Starsiak氏が2020年5月、軍人としての経歴を誇示し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、リチャード・ブランソン卿、Elon Muskの代理人を名乗り、アフリカの恵まれない地域への寄付のために1兆ドル以上の価値のある3MブランドのN-95マスクの購入を求めてきたと主張しています。3Mはこの要求を拒否しましたが、Starsiak氏はその後、自分たちが3Mの正規代理店であることを他の人に伝え、「3Mのナンバーワンセールスチーム」であり、「3Mのシニアバイスプレジデント、ゼネラルカウンセル、セクレタリーと定期的に連絡を取り合っている」と主張し、グローバルな法律事務所のデントンズが代理人を務めています。

3Mによると、被告は3Mから9000億枚のN-95マスクを1枚あたり1.27ドルで購入し、寄付ではなく、1枚あたり3.85ドルから4.50ドルという高額な価格で再販するというスキームに従事しているということです。被告は「3Mの販売代理店を装い」、「3Mの弁護士へのアクセスを繰り返し強調」し、「地域の3Mが雇っている弁護士に情報を提供する3Mチームに意思表示書を提供する能力を主張」してきました。

被告が野放しにされれば、「これらのマスクの正規でない取引が行われ、純利益は2兆3,200億ドルから2兆9,070億ドルになる」とし、「これらのマスクの一部が慈善目的から流用された場合、Starsiak氏は億万長者になるだろう」と主張しています。3Mは、被告が3Mのマークを使用して、3MブランドのN-95マスクを販売していること、また3Mからマスクを販売する権限を与えられていることを示唆しているため、これらの行為は商標権侵害を構成していると主張しています。

他の同様の訴訟と同様に、3Mは利益と弁護士費用の回収を求めており、これらの費用はCOVID-19の救済活動に寄付することを約束しています。以下は3Mの発表です。

3Mは、パンデミック時に個人用保護具(PPE)を求める人々を詐取する現在進行中の犯罪計画に関連して使用されることで、最低でもその名前、評判、のれん、有名なマークが損害を受けないようにするために、本訴訟を提起します。

日本でもマスクの転売が問題になりましたが、アメリカでもマスクなどの必需品の転売については大きく取り上げられました。また、今回のN-95 マスクはCOVID-19の治療に当たっている医療機関でも使われている非常に貴重でまだ生産が需要に追いついていないものです。

N-95 マスクを作れる会社は少なく3Mはアメリカでも大手で、COVID-19に乗じた詐欺的な行為を取り締まるのに、商標を活用しているのが印象的です。

今回のような詐欺行為が起こることは正直止められないと思います。今後も別の新型コロナウイルスが猛威を振るうこともあるかもしれません。そのときに、自社の製品が不正に転売されてしまったり、詐欺行為の対象物になってしまったら、メディアで大きく報道されてしまい、会社のブランドや信頼にも関わる問題に発展する可能性があります。

そのため、今回の3Mの対策を分析し、自社製品の商標強化に努めるのはどうでしょうか?そもそも有効な商標が詐欺行為や不正転売されている地域にないと商標による取り締まりができないので、まずは3Mの行動を上層部に紹介し、会社の理解を得て、重要な拠点に戦略的に商標を出願できるようにしましょう。

そして、効果的な商標監視システムを作り上げ、商標権を侵害するような行為をなるべく早く検知し、メディアが注目する前に、そして被害が広がる前に、適切な権利行使をして、不正行為を止めさせることが大切です。

また、3Mのように侵害相手が不正に得ていた利益や自社が訴訟の為に使った弁護士費用の回収を行い、これらの費用を救済活動に寄付することを約束すれば、取り締まり行為が慈善活動の一環にもなり、ブランド力を更に強くするPRにも用いることができます。

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まとめ作成者:野口剛史

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