2023年の自動車産業IPトレンドトップ3

まず、5Gやその他の技術が自動車に採用され、標準を満たすために不可欠な知財の取得に関する活動が増加傾向にあります。また、COVIDからリカバリーする中で急増している自動車部品の模倣品に対して、意匠特許と米国国際貿易委員会を活用する動きがあります。最後に、2023年、特許に強いテキサス州西部地区が再び有力な裁判地になりつつあります。

標準必須特許 (SEP) に関する問題が増加傾向にある

まず、5G 携帯電話や Bluetooth 4.X および 5.X などの最新のワイヤレス通信技術が、新車のインフォテインメント・システムやその他の車載コンピュータにますます搭載されているため、自動車分野では標準必須特許 (SEP) の主張や訴訟が引き続き増加する傾向にあります。自動車メーカーとそのサプライヤーは共に懸念を抱いているはずです。

これらの技術の重要性が増しているため、3G、4GセルラーやBluetooth 2.Xなどの先行技術と比較して、市場が求める技術に不可欠な機能に関する特許出願率が上昇しています。その結果、特に非実施者(NPE)が3G、4G SEPと同様に特許在庫を蓄積しているため、新たに発行された特許に基づいて特許侵害訴訟が引き起こされるケースが増えているのです。例えば、特許ライセンス事業者のAvanciは、2G、3G、4Gの特許を大量に保有し、アジア、ヨーロッパ、米国の大手自動車メーカーや部品メーカーと取引を成立させています。

まだ有効な対策がない会社は、SEPポートフォリオ、ライセンシング、訴訟の経験が豊富な外部の弁護士と協力して、要求があったときにスムーズに積極的に対応できるよう事前対策をするのがよいでしょう。

将来に向けての活動としては、 現在の規格が確定している、または確定間近の段階で、OEMとそのサプライヤーの両方の弁護士は、エンジニアリングチームに働きかけ、SEPが会社のビジネスに与える影響について教育し、次世代規格の早いサイクルにある利益を保護するために、次世代の規格設定組織で活発に活動するようチームに奨励する必要があります。また、集団的な行動も有効です。Fair Standards Alliance は、公正かつ合理的で非差別的な条件(FRAND)での SEP ライセンス供与を推進するため、現在、自動車業界の主要企業をメンバーとして活動を行っています。

模倣品対策は商標と意匠を取得しITCを活用

第二に、輸入データによると、COVIDにより従来の流通経路が破壊されたため、米国への模造自動車部品の輸入が急増しています。この動きは、中国は経済活動を刺激するために2022年末にCOVIDの流行対応を大幅に緩和したこと、アジア太平洋地域の他の地域における工業生産が回復していることもあり、大きな問題になりつつあります。

残念ながら、労働者が工場に戻り、正規の工業生産が増加するのに伴い、自動車部品の模倣品の生産活動が高まることは避けられないようです。そのため、企業の交換部品プログラムなどの収益性の高い付帯事業と貴重な商標の知的財産権を保護するために、弁護士は業界を監視して不正な商品を特定し、侵害者を排除するために迅速に行動する準備が必要です。

デザイン特許は、交換部品を保護するための比較的簡単で費用対効果の高い手段を提供し、米国国際貿易委員会 (ITC) は、米国の港で輸入を阻止することができます。あるOEMは最近、輸入された自動車用交換ランプの大部分が20以上の意匠特許を侵害しているとのITCによる仮決定(initial determination)を勝ち取りました。このようにITCを活用することは、模倣品対策に大きな影響を及ぼします。

WDTXが再度裁判地として注目されている

第三に、連邦巡回控訴裁(CAFC)は、特許侵害訴訟をテキサス西部地区(WDTX)から移すことを求める複数のマンダム請願を認め、また、同地区の裁判官の割り当て方法を変更したにもかかわらず(2022年6月25日、ウェイコで起こされた事件をすべての裁判官にランダムに割り当てることを求める命令)、2023年にこの地区で起こされる特許侵害訴訟の数は、特に非実施者(NPE)によって、前年並かそれより高くなると予想されています。この動きには2つの要因があります。

1つ目に、ここ数ヶ月、NPEやその他の特許権者は、CAFCによる西部地区移送マンダム申立ての許可率が低下しているのを見て、同地区への申立てを継続するような気構えになっています。2つ目に、Albright判事は、WDTXに提訴された特許事件のうち、不釣り合いな割合を担当する傾向にあります。2022年11月15日、西部地区の事件割り当て命令が再び変更され、今度はWaco部に提出されたすべての事件の割り当てがAlbright判事に戻されることになりました。このため、NPEは、特許訴訟を管理するためのAlbright裁判官の積極的なアプローチのメリットを引き続き求めると予想されます。

WDTXで膨大な数の訴えを処理しなければならない可能性があることを考慮すると、自動車業界の弁護士は、ケースの移送を拒否する根拠として訴訟の進展が利用されることを避けるために、裁判地に挑戦する決定を迅速に行う準備をしなければなりません。訴訟後に迅速な対応が求められるので、訴えられる前から事前対策をしておくべきでしょう。

参考記事:Top 3 Auto Industry IP Trends for 2023

追加記事

最近では猫ミームなど、ミームはインターネットカルチャーの定番となっていますが、その広範な配布は著作権や知的財産権に関する重要な問題を提起しています。このブログでは、ミームに関連する著作権法の複雑さについて掘り下げ、クリエイターとユーザーが著作権侵害、フェアユース、所有権といった知的財産に関わる問題をどのようにナビゲートするのかを探ります。
特許において、特許発明者の正確な特定は極めて重要です。Tube-Mac Indus., Inc.vs Campbell事件は、特に特許への貢献が複数の当事者からなされた場合に、発明者の定義とすべての発明者を特定する重要性を再認識する好例です。この記事では、このケースの分析を通じて、課題解決した当事者の重要性と共同発明者を特定するアプローチについて掘り下げます。
ニューヨーク州弁護士会はAI技術の法的・倫理的影響に対する新ガイドラインを提供しました。このガイドラインは、弁護士によるAIの適切な利用と潜在的リスク管理に焦点を当て、今後のAI法律業務における教育と規制の強化を推奨しています。80ページにもわたるレポートには、AIが今後どう弁護士業務を変えていくかについて詳細に書かれており、今後NYだけでなく、アメリカの各州におけるAIの弁護士倫理ガイダンスに大きな影響を与えることが予想されます。