知財の専門家が2020年の選挙について語っていること

2021年1月からバイデン政権がスタートしますが、アメリカの知財はバイデン政権下でどう変わるのでしょうか?次期特許庁長官は誰になるのか?知財専門家達が今回の選挙について語っている面白い記事があったので紹介します。

多くの特許専門家は、バイデン政権がオバマ政権時代の特許政策を踏襲することを期待しています。しかし、このような見方は非常に単純化されていて、一部の専門家はそのようにはならないと考えているようです。

第一に、知的財産は政治の中では比較的ニッチな問題であり、ほとんどの政治家は注目していません。このルールの顕著な例外は、上院知的財産小委員会の議長であるトム・ティリス(Thom Tillis)上院議員(R-NC)とクリス・クーンズ(Chris Coons)上院議員(D-DE)で、同小委員会ではカマラ・ハリス副大統領に次ぐ地位にあります。両上院議員は、特許を強く支持しているとの評判があります。

また、クーンズ上院議員はジョー・バイデン大統領に絶大な支持を得ていると言われています。このように、クーンズ上院議員は、米国の知的財産の将来を形作る上で重要な役割を果たす可能性があります。

一般的に、知的財産に関しては、党派政治はほとんど役割を果たしません。各政党の議員が広く採用している明確で対立する知的財産イデオロギーは存在しません。このことを最もよく示しているのは、現USPTO長官でトランプ氏が任命したAndrei Iancu氏が上院で94対0で承認されたことではないでしょうか。このように、オバマ大統領が任命したUSPTOのミシェル・リー長官やデビッド・カッポス長官のように、同じ大統領が任命した長官に対して、特許弁護士の意見が大きく異なることは珍しいことではありません。

新しい特許庁の長官が指名されるまでには時間がかかるかもしれません。例えば、最近の傾向を見てみると、前任者が移行期間に継続して就任したり、他のUSPTO役員が長官の職務を遂行している間に空席になったりしていることがわかります。2013年2月1日にカッポス長官が正式に辞任した際には、2015年3月9日にリー副長官が上院で長官として承認されるまで2年以上かかりました。リー長官が正式に辞任したのはトランプ大統領就任から4ヶ月以上経った2017年6月6日のことでした。リー長官の辞任に伴い、USPTOのジョセフ・マタル准弁護士が、アンドレイ・イアンキュ氏が就任するまで、知的財産担当商務次官兼米国特許商標庁長官の機能と職務を遂行していました。

以上のことから、リー長官が副長官を経て長官になったことは注目すべきことであり、特にバイデンが副大統領を経て大統領になったことを考えると、彼女の副長官であるラス・スリファーが長官の座を狙っているように思われます。スライファー氏は元マイクロン社の主任特許顧問であり、USPTO時代の日常業務の処理についてはしばしば称賛されています。

11月6日、Slifer氏は「バイデン大統領は、すでに各省庁がどのように運営されているかを知っていて、トランプ氏のダメージを迅速に反転させることができ、最も重要なことは、各省庁の使命を信じている幹部をチームに加えることを検討すべきである」との見解を示しています。ここでは、”Trump’s damage “は、USPTOでのIancu長官の在職期間に関する具体的なコメントではなく、移行に関連する問題を指しているように見えます。彼のコメントは、もしスリファーがUSPTOの次期長官に任命された場合には、そのミッションの促進にあると判断して、Iancu長官のイニシアチブを遅滞なく継続する可能性を残しているように思われます。

解説

2021年1月に正式にアメリカで政権がトランプからバイデンに変わることによって、特許庁でも長官の交代が行われると思われます。しかし、今回紹介した記事の通り、知的財産権や特許庁の人事に関しては、民主党・共和党における明確な対立はないため、政権が変わったことによる大きな「変化」は起こらないというのが一般的な理解です。

と言っても、次期特許庁長官のポジションに誰がなるのかは重要なポイントで、就任する人の考え方によっては、特許庁での実務レベルで大きな変更があるかもしれません。

しかし、やっと政権移行の準備が正式に行えるようになったのが数日前というレベルの話なので、次期特許庁長官が任命され、議会で承認が得られるまでだいぶ時間がかかりそうです。それまでは、特許庁の運営や方針に関しては大きな変更はないと思われるので、そこは安心したいところです。

OLCでは引き続き次期特許庁長官の話題に関して取り上げていくので、まだニュースレターに申し込んでいない人はこの機会にぜひ

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まとめ作成者:野口剛史

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