これまで知財系ブログ、ニュースレター、ウェビナーなどどれもコンテンツの元となるネタが大切なビジネスアイデアを提案してきましたが、今回はネタに困らないウェビナー解説動画の紹介します。考え方は簡単で、自分でオリジナルコンテンツを作れないなら、他人のコンテンツを使ってしまおうというアプローチです。
内容としては、今回紹介するウェビナー解説動画の特徴、ここで話しているウェビナー解説動画の定義、このコンテンツで目指す目的、利点、課題、コスト・リソース、今後の展開といういつもの流れになっています。では詳しく見ていきましょう。
ウェビナー解説動画の特徴:
Who(誰がやる?): 事務所を経営している弁理士さん、そこで働いている弁理士さん、知財系コンサルタント。
What(何をする?): 公開されてい知財系ウェビナーにわかりやすい解説をつけて説明する動画を作る。
Where(どこで?): 動画なので、動画を編集したものをYoutubeにアップします。動画編集などのハードルが高いと思ったらブログなどでもいいと思います。
When(いつはじめるか?): 解説できそうなウェビナー動画を見つけたらいつでも始められます。
How(どうやって?): ウェビナー動画を見つけて、視聴して、自分なりにまとめてわかりやすく解説するだけです。詳しくは後ほど。
Why(そもそもなんでやるの?): 難しい事柄をわかりやすく説明するスキルをアピールするためです。知財関連の情報は専門家でないとわからないものも多いので、それをかみくだいて説明できればオンリーワンの存在になれます。
ウェビナー解説動画の定義?
ここで話しているウェビナー解説動画とは、一般に公開されている知財系のウェビナー動画を見て、自分なりに解説を加えた動画を配信していくことです。イメージとしては、Youtubeにたくさん上がっているレビュー動画を想像してもらえるといいと思います。特に新しいAppleのiPhoneなんかが発表された直後はたくさんのYoutuberからレビュー動画が上がりますね。このウェビナー解説動画では、iPhoneのような物理的なもののレビューではなく、実際に視聴してみたウェビナー動画のレビューをします。イメージつかめましたか?
iPhoneのレビュー動画は様々なものがあるように、このウェビナー解説動画も個性を出したものがいいと思います。視聴したウェビナー動画の細かな解説をしてもいいし、1時間くらいの内容のウェビナー動画を5分程度にわかりやすくポイントだけまとめるのもありだと思います。あと、自分なりにウェビナー動画を評価してみるのもいいですね。

元ネタになるウェビナーはアメリカの知財情報系なら比較的簡単に見つかります。例えば、Fish & Richardsonはウェビナー動画の一部をYoutubeで公開しています。Finneganも登録が必要ですが、無料で一部のウェビナー動画を公開しています。これらを見て、自分なりの解説をしたら立派なコンテンツができあがります。
ウェビナー解説動画の目標
では、わざわざ他人のウェビナーに解説を加えた動画を出す目的はなんでしょう?それは難しい事柄をわかりやすく説明するスキルをアピールするためです。知的財産全般、特に特許系の情報は、専門家向けの内容がほとんどで知財をあまり知らない会社の重役や中小企業の社長さんなどには未知の世界です。そのような小難しい内容を事前知識がなくてもわかる形で解説できるだけで貴重な存在になれます。
堅苦しい難しい事柄をわかりやすく説明しているいい例が、「池上彰のニュースそうだったのか!!」です。この番組ではいつも抽象的で小難しい内容のテーマをわかりやすく解説しています。ウェビナー解説動画の目標は、このテレビ番組の池上彰のように難しい知財のあるテーマをわかりやすく解説することによって、自分のスキルを示すことです。
特許事務所のホームページを見ると、うたい文句で「丁寧でわかりやすい言葉でご相談させていただきます」みたいなことが書かれていますが、これだけ見ても実際どれだけわかりやすく説明してもらえるかはわかりません。自分たちのサービスを競合他社から差別化するにあたって、もし「わかりやすさ」を強調するのであれば、なんらかのジェスチャーをするべきだと思います。池上彰のようなレベルでなくとも、ここで紹介しているようなウェビナー解説動画を何本か上げて具体的に自分たちのわかりやすく説明できる技術を披露するとよりダイレクトにメッセージが伝わると思いました。
ウェビナー解説動画の利点
次にウェビナー解説動画のいいところを紹介していきます。すでに話したこともありますが、まとめると以下の点が優れていると思われます。
- ネタに悩まなくていい
- スタイルに自由度がある
- 「わかりやすく説明できる」という抽象的なスキルを披露できる
- 学ぶことに終わらずそこから自分のコンテンツをつくる
- 解説動画を作ることで自分の理解度が高まる
- ウェビナーを見る時間のない人に貢献できる
このウェビナー解説動画の最大の利点は、自分でオリジナルのアイデアを考えないでいいことです。クリエイターが一番悩むのがネタです。特に定期的に続けていくとなったらだんだん話す話題がなくなってきてしまいます。でも、この解説動画だったら大丈夫です。ネタは誰かがすでに考えて時間をかけて作ってもらっています。あとはそのコンテンツを見て、自分の視点から感想を語るだけです。もののレビュー動画と同じように、ウェビナー解説動画には決まったスタイルはないので、型にはまらない自由な形で自分を表現できます。これを違う視点から見てみると、自分が作ったウェビナー解説動画とは自分が伝えたいことを表現した作品として捉えることができます。つまりウェビナー解説動画は自分のコミュニケーション能力を披露できるコンテンツなのです。
また、知財プロフェッショナルとして働いている限り、仕事に関わる情報を得て学んでいくことは大切ですね。前回も説明しましたがウェビナーは、ある程度まとまったコンセプトをプレゼンするものなので、特定のテーマに関して体系的に学べるいい教育媒体です。またウェビナーはブログなどの記事とは異なり話しながら物事を説明していく形式なので、記事では話せないオフレコのようなコメントも聞けることがあります。ウェビナーを視聴すること自体が自分のためになることですが、ここでは「学ぶ」ことで終わらずに、もう一歩進んで学んだことを自分の言葉にして伝えるという作業をします。ウェビナー解説動画を通して他人に伝えることで、ウェビナーを見る時間のない人に貢献できるだけでなく、解説動画を作ることで自分の理解度が高まるので、知財の知識を身につけるためにもこのウェビナー解説動画は有益です。
課題
次にウェビナー解説動画における課題を考えてみます。当たり前かもしれませんが、解説動画なので解説するウェビナーのテーマがある程度、見てくれる人に興味のある内容である必要があります。またウェビナー動画は大体のものが1時間なので、視聴するにはある程度まとまった時間が必要です。また、それを自分なりにまとめて動画にすることにも時間が必要です。
あと、日本語のウェビナー動画がどれだけあるかわかりません。OLCでウェビナーをやっていたときは、ウェビナーってそもそも何?みたいなことも聞かれたので、日本語の知財系ウェビナー動画は少ないのかもしれません。そもそもオンラインで一般に無料で公開しているところがあるかわからないので、このウェビナー解説動画をやるんだったら、最初はコンテンツが充実しているアメリカの知財系ウェビナー動画の解説から始めるのがいいかもしれません。
コストやリソースについて
課題でも言いましたがウェビナー動画を見て、理解して、自分の考えをまとめて、動画で発表する作業には時間が必要です。それが最大のコストかもしれません。あとは、多少の動画編集スキルが必要かと思います。
ビジネスの展開方法やpivoting (事業変更)の可能性
最後にウェビナー解説動画の後どうするかについて話します。シリーズで定期的にやってもいいし、1つか2つやって事務所のホームページにアップして、自分たちの「わかりやすく説明する」スキルを示す例として使うのもありだと思います。ウェビナー解説動画は、このような抽象的なスキルを披露するツールみたいなものなので、事務所の紹介ページとかサービス内容を説明するページとかにケーススタディみたいに披露するのもいいと思います。
ウェビナー解説動画をやろうとしてうまくいかなくても学んだことは自分に残ります。選んだウェビナー動画は自分の仕事に関連する話題だと思うので、解説動画がうまくいかなくても学べたので時間の無駄にはなっていないと思います。
まとめ
情報配信するのに、すべてオリジナルな情報を配信し続ける必要はありません。ネタが思いつかないなら、すでに完成しているネタを見つければいいのです。アメリカの知財系ウェビナー動画は一般に公開されているものも結構あるので、公開されているウェビナーを聞いて、学んだことを動画にすれば立派なコンテンツになります。このような解説動画は、自分の「わかりやすく説明する」スキルを示せる格好のチャンスなので、「わかりやすさ」で差別化を狙っている知財プロフェッショナルは一度このウェビナー解説動画を試しに作ってみて下さい。