USPTOの特許分類・検索システムのAI活用

USPTOは最近、AI技術を特許審査に取り入れ、具体的には先行技術の検索や特許の分類などを行っています。目に見える効果が出ているとのことなので、今後もさらなるAIの活用が注目されています。

検索システム

先行技術の膨大な増加と技術開発の急激な進展により、先行技術調査は特許審査官にとって大きな負担になっています。しかし、これらの調査は、将来の訴訟に耐えうる確実な有効性を持つ特許を発行するために、特許出願の質の高い審査に不可欠です。

そのため、USPTOは、先行技術調査に費やすリソースを削減するために、AIベースのプロトタイプ検索システムを導入しました。このAIシステムは、関連する文書を特定し、審査官に追加の検索領域を提案することを目的としています。また、このAIシステムは、審査官からのフィードバックを継続的に受け入れるように構成されており、時間とともに改善されることが期待されています。このプロトタイプは、2020年3月に一部の審査官に導入されました。

分類振り分け

またUSPTOは、特許出願をCooperative Patent Classification(以下、CPC)システムに従って分類できる自動分類AIツールも開発。このAIシステムは、クレームされた主題を特定し、CPCコードを提案し、アプリケーション内の特定の主題を各特定のCPCコードにリンクさせます。

USPTOは、2020年12月にこの自動分類AIプログラムを実施。その結果、USPTOはCPCデータ取得のための支出を削減することに成功。2015年にUSPTOは、Serco社に5年間の特許分類契約を結んで9,500万ドルを支出していましたが、そのような出費が不要になりました。

USPTOがより大規模に導入しようとしているAI技術は、特許出願プロセスを効率化することも目的としており、出願人にとって時間的にも費用的にも有利になる可能性があります。特に自動分類のAI技術では、USPTOが分類の必要性から高額な契約を必要としなくなるため、特許出願者はUSPTOの出願料が減少する可能性があります。また、USPTOは、節約できた費用を使って審査官を増員し、出願人の審査待ち時間を短縮することができます。

分類を人がやると、特許出願が提出されてから分類するまでに数ヶ月から1年以上かかることもありますが、自動分類AIシステムは、出願が提出された時点で即座にとは言わないまでも、非常に迅速に分類することができます。USPTOはこれを利用して、例えば、特許出願が公開されるまでの時間を短縮することができます。先行技術検索AI技術により、出願人は、複数のオフィスアクションの後ではなく、審査開始時に発明に最も近い先行技術を入手できる可能性が高くなるというメリットがあります。このように、オフィスアクションの回数が減り、特許審査の初期段階で関連する先行技術が特定される可能性が高まることで、出願人は時間と費用を節約することが期待されています。

AI導入によるさらなる効率化を期待

このように、USPTOに最近導入されたAI技術は、特許出願人が高品質な特許をより早く、よりリーズナブルなコストで取得できる可能性を高めます。今後、USPTOでは、さらに先行技術を検索するための画像検索プログラムなど、さらに多くのAIベースの技術を導入する予定なので、AI導入でさらなる効率化に期待したいところです。

参考文献:The USPTO’s Patent Classification and Search Systems Have Jumped on the AI Bandwagon

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