アメリカ特許とプラクティスの考察(抜粋)

元記事にはアメリカ特許について様々な点から考察されていて、ポイントごとにまとめられていますが、今回はそのなかでも面白そうなトピックをピックアップしてお届けします。詳細は、元記事にて確認してください。

出願から権利化までの時間と費用

新規出願の場合、出願から18ヶ月以内に権利化されることはほとんどありません。審査期間が長引くこともありますが、特許庁側の理由で遅れが出た場合、特許の有効期限の調整が加えられます。

また、コストも出願内容の複雑さに応じて大きく変わります。大手企業の出願の場合、1件あたりの費用が$20Kから100Kの間のものが多いようです。

Forum selection

特許訴訟を連邦地裁で争う場合、アメリカ国内に94ある連邦司法地区の1つで争われることになります。Forum selectionには手続き法におけるルールがありますが、実務的には、大部分の特許訴訟ケースはごく1部の司法地区で扱われます。具体的には、the Eastern District of Texas, the District of Delaware, the Northern and Central Districts of California, やthe District of New Jerseyで裁判がおこなわれることが多いです。このような管轄で訴訟がおこなわれる場合、特許訴訟になれた裁判官が案件を担当することになります。また、近年のvenue lawの変更により、the Eastern District of Texasにおける特許訴訟が大きく減少している傾向にあります。

訴訟費用の肩代わり

アメリカの法律はコスト(costs)と弁護士費用(attorneys’ fees)を分けて考えます。コストは比較的少額なcourt reporting chargesなどの費用のことを指します。勝訴した場合、そのようなコストを敗訴した相手から取り戻すこともできますが、トータルの訴訟費用に比べたらそのようなコストはわずかな出費で数万ドルの弁護士費用に対して、コストは数千ドルレベルというのが一般的です。

また、弁護士費用(attorneys’ fees)を負けた相手に肩代わりしてもらう、‘loser pays’ という考え方はアメリカの訴訟では一般的ではなく、訴訟に勝っても負けても、原則弁護士費用は自腹で負担する必要があります。しかし、この部分の法律も徐々に変わりつつあり、以前に比べると、弁護士費用の肩代わりは認められやすくなりました。しかし、そのような措置は例外であって、通常は認められません。

特許訴訟の判決までの時間

地裁における判決が出るまでの時間は訴訟がおこなわれている司法地区によって大きく異なります。例えば、the Eastern District of Virginiaは迅速な民事訴訟をおこなうことで有名で、特許訴訟の場合、12ヶ月ほどで判決に至ることもあります。そのため、the Eastern District of Virginiaはrocket docketという愛称でよばれることもあります。しかし、その他の裁判地では訴訟が長引くのが一般的で、公判までいくまでに2年から3年かかるのが普通です。

一方で、ITC調査には時間制限があるので、調査から判決まで18ヶ月以内に終わることがほとんどです。

訴訟費用

訴訟費用は様々な要因で変わります。しかし、discoveryという証拠開示手続きがあるため、アメリカの訴訟は他の国での訴訟よりも高額になる傾向があります。比較的簡単な特許訴訟の場合、公判をおこなって、地裁における判決が下るまでの費用は、$4Mから$8Mと言われています。

控訴

控訴をする場合、ほとんどのケースで地裁での判決が決まるまで待つ必要があります。また、控訴が受理されてからCAFCによる判決までの時間は12ヶ月から15ヶ月ほどが一般的です。

まとめ

ここではいくつか面白そうなトピックをピックアップしてみましたが、元記事には特許性に必要な条件、Softwareやbusiness methodsの特許、特許をチャレンジできる手段、訴訟戦略などアメリカの特許関連情報がバイトサイズで紹介されているので、アメリカ特許の特徴を知るには有益なリソースになると思います。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Nicholas Groombridge, Catherine Nyarady, Eric Alan Stone and J. Steven Baughman. Paul, Weiss, Rifkind, Wharton & Garrison LLP(元記事を見る

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