訴訟をするべきか否か、アップル v. サムソンに学ぶ

2018年、長年続いた世界規模の特許訴訟は一枚にも足らない内容の訴訟取り下げ命令で幕を閉めました。詳しい和解内容はわかりませんが、これまでの経緯(一時的な10億ドル($1B)の支払い命令と4億ドル($400M)の支払い)などを考えると、サムソンが訴訟における最悪の事態を回避したかったのだと思われます。

訴訟の価値はあったのか?

さて、この訴訟、行う価値があったのでしょうか?訴訟の長期化や莫大な弁護士費用、訴訟対応のための社内リソースなどを考えると、ビジネスの問題は(法的な解決方法ではなく)商業的な解決方法を取るべきだという見方もできます。このような視点からだと、特許訴訟は「なんとしても回避したいもの」と考えることもできます。しかし、違う視点から見てみると、特許訴訟が担うビジネス上の戦略も見えてきます。特に、特許訴訟が自社の重要で価値のある技術(アップルとサムソンにとってのスマートフォン、通信技術)に関わる場合、特許訴訟で競合他社にプレッシャーをかける意義は十分あります。

市場の成長と訴訟のタイミング

21世紀における発明は、マーケットシェアーの争いに大きく関わってきます。アップルとサムソンの特許訴訟が始まった当時、スマートフォンは先駆的な商品で、最初に発売されたiPhoneはとても重要な製品でした。市場の原理にしたがって、iPhoneが発売された後、新しいプレイヤー(サムソン)が市場に参入して来ます。彼らの製品が市場に投入され、サムソンがマーケットシェアを広げるようになりました。この事態にアップルは対応しなければなりません。その1つの答えとして、特許訴訟がありました。つまり、スマートフォンが販売し始めた当初は、特許訴訟という手段は合理的な回答でした。

しかし、今はそうではありません。サムソンは今も存在し、その製品の人気は維持できています。また、アップルも市場に新製品を投入し続け、マーケットシェアを維持しています。このような市場の変化と市場の熟成の影響により、今後も継続して特許訴訟を行うメリットがなくなったのだと思われます。このような状況下では、お互いに訴訟判決におけるリスクを避け、和解することでそれぞれの事業に専念するというのも納得できます。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Richard Baddeley. Watermark Intellectual Property (元記事を見る

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