最短3ヶ月で特許を取得することができる方法

権利行使やライセンスの目的でアメリカで早期権利化したいという場合、今回紹介する方法を知っておくと便利かもしれません。今回紹介する事務所の事例では3ヶ月で特許が取得できたということなので、うまく制度を活用すれば、通常の審査期間に比べてとても早く特許を権利化することができます。


米国特許商標庁(USPTO)で特許を取得するまでの平均期間は約25ヶ月です。しかし、多くのスタートアップ企業にとって、必要な投資を集めるためには、特許を早く取得することが不可欠です。特許を取得するために2年以上待つことはできません。

USPTOは、特許取得までの時間を短縮するためのプログラムを多数用意しています。今回紹介した記事を書いた事務所は、Track One Prioritized Examination program(Track One)Full First Action Interview Pilot Program(Full First Action)を組み合わせることによって、最短3ヶ月で特許を取得してきたそうです。

Track Oneでは、追加料金を支払うだけで優先審査のステータスが得られ、その付与から1年以内に最終拒絶通知または特許許可通知を受けることができます。料金は出願人のステータスによって異なりますが、マイクロエンティティのステータスを持つ申請者の場合、現在のところ料金はわずか1,050ドルです。

Full First Actionでは、最初のオフィスアクションが発行される前に、出願人と審査官との個人面談が促進されます。願書が提出されると、審査官は先行技術調査を行い、Pre-Interview Communicationを発行し、1ヶ月間の期間の間にインタビューを要求するか拒否するかを決めます。インタビューで合意が得られなかった場合、出願人にはオフィスアクションとインタビューの概要が通知されます。

私たちは、ある新興企業のクライアントに対して、このアプローチを採用しました。出願から約1ヶ月以内に、審査官が新規性・自明性の欠如に基づく拒絶を正当化すると考えた先行技術文献の概要をまとめたPre-Interview Communicationを受領しました。このPre-Interview Communicationから2週間以内に、我々は審査官との面接を行い、許容されるクレームの主題について合意に達しました。面接日から2ヶ月足らずで、出願日から約3ヶ月で特許が発行されました(第10,646,051号)。

Track OneとTrack One Prioritized Examination programの組み合わせは、すべての特許出願に通用するわけではありません。しかし、知識豊富な特許弁護士の手にかかれば、このアプローチは、適切な状況下では非常に効果的であることを証明することができます。

解説

アメリカには一定の条件を満たし費用が払えるなら優先的に特許出願を審査してもらえるオプションがあります。Track Oneはその1つで、似たようなプログラムではCOVID-19 Prioritized Examination Pilot Programというものもあります。

Full First Actionでは最初のOAが発行される前にインタビューが行えるので、そこでクレームに関して審査官と合意が得られれば、とても早く権利化できます。

この2つのプログラムは相性がいいので、権利行使などの理由からアメリカで早期に権利化したいという場合に役に立ちます。しかし、早期権利化には出願人(とその代理人)の迅速な対応も求められるので、早期権利化を狙う場合、出願側のリソースが十分ありスムーズに対応できるようにしておく必要があります。

TLCにおける議論

この話題は会員制コミュニティのTLCでまず最初に取り上げました。TLC内では現地プロフェッショナルのコメントなども見れてより多面的に内容が理解できます。また、TLCではOLCよりも多くの情報を取り上げています。

TLCはアメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる今までにない新しい会員制コミュニティです。

現在第三期メンバー募集中です。詳細は以下の特設サイトに書かれているので、よかったら一度見てみて下さい。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Steve Beuerle. Procopio Cory Hargreaves & Savitch LLP(元記事を見る

ニュースレター、公式Lineアカウント、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

公式Lineアカウントでも知財の情報配信を行っています。

Open Legal Community(OLC)公式アカウントはこちらから

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

supreme-court
その他
野口 剛史

最高裁判決:公式の法令注釈には著作権がない

米国最高裁は、5-4の判決で、ジョージア州の公式な注釈付きのジョージア州法集に含まれる注釈は著作権法では保護されないと判決を下しました。この判決により、今後はより多くの法律関連情報に無料アクセスできるようになると思われます。

Read More »
secret
商標
野口 剛史

DTSA下の一方的な押収事例(施行から2年)

2016年のDefend Trade Secrets Act (DTSA) 施行から2年が経ちました。DTSA により、いままで州法で州ごとに守られていた企業機密を連邦法でも取り締まるようになりました。また、DTSA は、州法では認められていなかった一方的な押収(ex parte seizure)も認めています。今回はこの一方的な押収の事例を紹介しながら実際に適用できる条件を見ていきましょう。

Read More »
coca-cola trademark
商標
野口 剛史

第三者商標出願をモニターする理由と効果的な方法

第三者の標出願をモニターすることは、自社の商標侵害の可能性を知る上で有効な手段の1つです。しかし、現実的なモニタリング戦略がないと、関連のない調査結果などで時間がとられてしまうので、しっかりとした戦略の上で、モニタリングを行うことが大切です。

Read More »