第三者による訴訟費用提供を制限する訴訟援助理論

第三者による訴訟費用提供が増えてきています。知財の場合、NPEが特許訴訟を起こすときに資金調達をすることがあります。しかし、州によってはこのような訴訟援助を禁止する理論を認識しているので、NPEから特許訴訟を起こされた場合、資金源を調べることも大切になってきます。

特許訴訟費用提供とは?

特許訴訟費用提供は、特許権者が賠償金や和解金(の一部)を交換条件に訴訟資金を第三者からまかうことを言います。自己資金があってもリスクヘッジのために第三者から資金を募ることもあります。

訴訟援助理論( champerty doctrine)という考え方

訴訟援助理論( champerty doctrine)は当事者でない部外者が特定の訴訟に対する資金提供を禁止する考え方です。しかし、州によって理論の扱いが異なったり、まったく訴訟援助理論を認めない州もあります。例えば、Arizona, California, Louisiana, New Jersey やTexasでは訴訟援助が禁止されていなかったり、訴訟資金を援助することに対して特に制限はありませんが、Alabama, Delaware, Georgia, Minnesota, Mississippi, New York や Pennsylvaniaでは訴訟援助を禁止しています。このように州によって対応が異なるので、訴訟の際の裁判地(Venue)の選択に影響をおよぼす可能性があります。

訴訟援助を禁止していても、適用されるかはケースバイケース

例えばTC Heartland 判決後、特許訴訟の数が急上昇したDelawareを見てみましょう。
Delawareでは訴訟援助は原則禁止ですが、必ずしもすべての資金提供が訴訟援助として認められる訳ではありません。

In Charge Injectionでは、特許権者が投資ファンドに資金調達を依頼し、訴訟から得られる将来的な収益と引き換えにファンドから資金を確保しました。一見、訴訟援助理論に抵触しそうですが、裁判所は資金提供したファンドが特許権者に訴訟を強要したり、訴訟をコントロールしていなかったとして、訴訟援助ではないと結論づけました。

Southeastern Chester County Refuse Authority v. BFI Waste Services of PennsylvaniaやArcoria v. RCC Associatesなど訴訟援助が疑われた裁判でも訴訟援助が否定されていて、最近の判例ではDelawareで訴訟援助が認められづらくなっています。

しかし、訴訟援助理論自体が否定された訳ではないので、資金提供の形やタイミングによっては、訴訟援助とみなされる可能性があります。DelawareでNPEなどの組織から特許訴訟が起こされた場合、資金源を確かめ、資金提供者が実質訴訟の実権を握っているのか否かの調査が重要です。

このような調査は、Delawareでなくても、訴訟援助理論( champerty doctrine)が受け入れられている州では大切です。同じように資金源と資金提供者の訴訟への影響度を調べるといいでしょう。

また、直接的な訴訟費用の援助でなくても、会社の金融資産を担保に資金調達をおこなった場合も、それが間接的に訴訟資金として使われていると認められる可能性があります。しかし、お金が直接訴訟費用のために使われる訳ではないので、会社の資金調達と訴訟の関連性や、資金提供者の訴訟に対する影響が重要なポイントになってきます。

流れは当事者の明確化へ

このように第三者による訴訟資金提供が増えていく中、資金提供者を含めた訴訟における当事者の特定に向けた動きが進んでいます。連邦裁判所やPTABでは、実質的利益当事者(the real parties in interest )が実際の訴訟に携わるよう対策が取られており、知財系の訴訟では資金提供者の開示も義務化するなどの民事訴訟法( Civil Procedure )の改定も検討されています。

まとめ

第三者による訴訟資金提供は、訴訟のビジネスの側面をより複雑化させることになります。また実質的利益当事者が複数存在することで、和解交渉なども多面化し、難航することが予想されます。

訴えられる側としては、第三者による訴訟資金提供はあまり好ましい流れではないですが、訴訟援助理論などを武器に、訴訟の早い段階で資金提供源を特定することが大切な対策になってくると思います。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者: Charlene M. Morrow and Earl W. Mah. Fenwick & West LLP (元記事を見る



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