弱小クラフトビール会社Stone Brewingが大手ビール会社Molson Coorsを商標侵害で負かすというニュースです。中小企業でも商標を出す大切さ、そしてたとえ業界大手であったとしても、権利侵害を見過ごさず、裁判に打って出る大切さを教えてもらえるエピソードです。
裁判:STONE BREWING CO., LLC, v. MOLSON COORS BREWING COMPANY 18CV0331 BEN JMA
裁判の概要
サンディエゴの連邦裁判所で下された判決において、判事は、ビール会社大手のMolson CoorsのKeystone Lightブランドビールへの「STONE」の文字使用をめぐる商標権侵害訴訟について、クラフトビール会社で商標権者のStone Brewingを支持しました。
この訴訟は4年前に提起され、Roger Benitez連邦地裁判事と8人の陪審員によって3週間にわたる裁判が終了。この裁判は、最終的にStone社に有利な判決を下し、5700万ドルの損害賠償が認められました。
各社のStoneマークの利用状況
この訴訟は、Stone Brewing社によると、ブランド名を変更したKeystone Lightの缶が、「STONE」という単語を「Key」から独立した単語であるかのように強調し、ブランドの混乱を誘発したことに起因しています。Molson Coorsは、STONEのブランドで17億ドル以上のKeystone Lightを販売しました。
商標権者であるStone Brewingは、Stone IPAというビールを作っています。
その一方、Molson CoorsのKeystone Lightは、パッケージのデザインが過去に変更されていて、「STONE」という単語を「Key」から独立させる前のデザインが右、その後のデザインが左です。
会社の規模が200倍も違う相手を商標侵害で訴える
Molson Coorsは、イリノイ州シカゴに本社を置くアメリカ・カナダの多国籍飲料・醸造会社です。2016年時点で、当時世界第3位の規模の超巨大ビールメーカーで、ニューヨーク証券取引所とトロント証券取引所の両方で株式公開されている企業です。
一方のStone Brewingは全米9位のクラフトビールメーカーですが、2020年のビール生産量は34万7000バレルで、Molson Coorsの0.5%にすぎません。今回の下克上は、何よりも品質を重視し、独立性を誇るすべてのクラフトブルワリーにとっての大きな勝利と言えるでしょう。
勝利したStone Brewing CEOのコメント
Stone Brewing の CEO である Maria Stipp 氏は、「私たちのチームは、Keystone が STONE® の商標を意図的に盗んでいるのを見たときから、この日が来ることを確信していました」と述べています。「私たちは、Stone ブランドとそれを築いた情熱的なチームの素晴らしい評判を守るために、全力を尽くすことを約束します。私たちは、BraunHagey & Borden LLC のチームが私たちの裁判を代理してくれたことに感謝したいと思います。彼らは、心、魂、才能をこの訴訟に注いでくれました。
中小企業でも商標が重要な時代に
今回のStone Brewingの勝利は、中小企業における商標権の重要性と権利行使の重要性を語っています。商標は社名やロゴだけでなく、主力製品やサービスに関しても複数取っておくべきだし、必要とあれば、業界大手の侵害行為に関しても権利行使をする勇気と意思が示されたエピソードだと思います。