“Consisting Essentially of”を考え直す

“consisting essentially of” というtransitional phraseを使ったクレームはバイオや化学系のクレームに多く用いられることがありますが、今回の判例では“consisting essentially of”のもつ意味に大きな問題があることが指摘され、今後“Consisting Essentially of”が含まれるクレームの有効性を問うものになりました。

代表的なtransitional phrase

クレームのtransitional phraseとして代表的なものは3つあります。最も一般的に使われるOpen claimsである”comprising”、その反対に位置するclosed claimsである‘consisting of’、その中間にある‘consisting essentially of’です。

“consisting essentially of” というtransitional phraseを使ったクレームのスコープは、長年クレームにリストされたマテリアルやステップに加え、クレームされた発明の基礎や新規的な性格に実質的な影響を与えないものを含むとされてきました。(the scope of a claim is limited to the specified materials or steps “and those that do not materially affect the basic and novel characteristic(s)” of the claimed invention)

“consisting essentially of”の問題点

しかし、HZNP Medicines LLC v. Actavis Laboratories UT, Inc. において、‘consisting essentially of’を理解する上での2つの問題が指摘されました。

  1. What are the basic and novel properties of the invention?
  2. Does a particular unlisted ingredient materially affect those basic and novel properties?

今回は判例の経緯や判決分析は省略しますが(判例はこちら)、この判決から学べることは以下の2つです。

  1. By using the term “consisting essentially of” in the claims, the Nautilus definiteness standard extends to the “basic and novel properties” identifiable in the specification; and
  2. In order for the “basic and novel properties” to be definite, results relating to the “basic and novel properties” have to be consistent.

ここで示された点というのは、事実に基づいて変わるので、一概には言えません。しかし、term “consisting essentially of”を使う場合、明細書で“basic and novel properties”がなんであるのかを明確に示す必要があります。また、その“basic and novel properties”から得られる結果にばらつきがあると、クレーム自体がindefiniteとされてしまう可能性があるので、“basic and novel properties”から得られる結果は一定でなければいけません。

判例の影響

CAFCは今回の判例は限定的なものだという見解ですが、今後 “consisting essentially of” の解釈について大きな影響をもたらすことが予想されます。過去20年間、32,000件以上のアメリカ特許に“consisting essentially of”という文言が含まれています。その多くがバイオ系の発明に向けられています。

今回の判例に準じるには、クレームはNautilus definiteness standardを満たす必要があり、そのためには、明細書に開示された“basic and novel properties”は、合理的な確実性の元、当業者にクレームスコープを示す必要があります。(the “basic and novel properties” disclosed in the specification must inform, with reasonable certainty, a person of ordinary skill in the art of their scope within the context of the invention.)

つまり、“basic and novel properties”が何なのかということが今後頻繁に争われることになります。もし“basic and novel properties”がはっきりしない発明であれば、“consisting essentially of”ではなく、“consisting of”を使うべきでしょう。

まとめ

“consisting essentially of” は使いづらくなってきました。今回の判例で、明細書内で“basic and novel properties”が何なのか、また、そこから得られる結果が一定でないと、クレームが不定(indefinite)になってしまうので、バイオなどの分野であっても“Consisting Essentially of”を使うことに関して考え直すタイミングなのかもしれません。

まとめ作成者:野口剛史

元記事著者:Aydin H. Harston and Alvin Lee. Rothwell, Figg, Ernst & Manbeck, PC (元記事を見る

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

creative team meeting
AI
野口 剛史

職場におけるAI導入のために雇用主が知っておくべき規制とリスク

職場でのAI導入には明確なポリシーが必要不可欠です。職場という枠組みでは雇用やプライバシーに関する規制が活発になっていますが、知財問題も重要な点です。そこで今回はそこで今回は雇用主の観点から、AIの利用を規制する明確なポリシーを制定する上で検討すべき点をまとめました。

Read More »
twitter
商標
野口 剛史

ツイッターのXへのリブランディング:この変化は良い方向に働くだろうか?

大企業の商標のリブランディングは珍しいことではありません。しかし、ソーシャルメディア・プラットフォームのツイッター(現在はX)の最近のケースほど、社名変更が大きな反響を呼ぶことはめったにないでしょう。そこで、商標法の観点からこのトピックを取り上げ、法的にこのような選択が正当であったかどうかを評価してみたいと思います。

Read More »