Qualcommが陪審審理でアップルに勝利

チップメーカー王手のQualcommとAppleは世界的規模でQualcommの特許技術に対してどれほどの対価を支払うべきかでもめていますが、アメリカ地裁の陪審審理ではQualcommが勝利し、$31.6Mの賠償が命じられました。

今回のケースはまだ序盤で、場合によっては数億ドルものお金が絡んできます。

今回対象になっている製品は iPhone 7, 8, と Xで、Qualcomm は対象商品の販売中止を求めることもできますが、アメリカの裁判所ではそのような処置ではなく、賠償金の支払いを命じる傾向にあります。

この訴訟はそもそもQualcommとAppleのライセンス契約がこじれたのが発端です。2017年にQualcommへのロイヤルティーの支払いが止まってから、Qualcommは数億ドルの損失を被っていると予想されています。

このこじれからAppleはiPhoneに使っていたチップをIntel製に変えていました。

このQualcommとAppleの戦いは長期化が懸念されています。また、この問題は、Standard Essential Patentのライセンスや独禁法にも関わるものなので、判決次第ではSEPライセンスや独禁法にも関わる重要な判例が下されそうです。

まとめ作成者:野口剛史

情報源:bloomberg(元記事を見る

ニュースレター、会員制コミュニティ

最新のアメリカ知財情報が詰まったニュースレターはこちら。

最新の判例からアメリカ知財のトレンドまで現役アメリカ特許弁護士が現地からお届け(無料)

日米を中心とした知財プロフェッショナルのためのオンラインコミュニティーを運営しています。アメリカの知財最新情報やトレンドはもちろん、現地で日々実務に携わる弁護士やパテントエージェントの生の声が聞け、気軽にコミュニケーションが取れる会員制コミュニティです。

会員制知財コミュニティの詳細はこちらから。

お問い合わせはメール(koji.noguchi@openlegalcommunity.com)でもうかがいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OLCとは?

OLCは、「アメリカ知財をもっと身近なものにしよう」という思いで作られた日本人のためのアメリカ知財情報提供サイトです。より詳しく>>

追加記事

hand-shake-business
その他
野口 剛史

VPNによるコンテンツへのアクセスの拡大がライセンス事業を変える可能性

このパンデミックにより、リモートワークのセキュリティ対策として、VPN(Virtual Private Network)を導入する企業が増えています。それだけではなく、個人がVPNを使って、外国でしか見られないコンテンツにもアクセスする動きもあります。このようなVPN利用が一般化すると、ライセンス事業が地域別でなく、グローバルライセンスに変わる可能性があります。

Read More »
Contract-signing
特許出願
野口 剛史

「Shall Be」という言葉は、発明の権利の自動譲渡にならない

職務規約において発明や特許の譲渡が明記されている場合もありますが、その規約の文言だけで発明の権利が自動的に会社に譲渡されるということにはならない可能性があります。今回のように、文言が譲渡する意思を示すものとして解釈されたり、また、実務では別途譲渡書に署名してもらうという手続きをとっていると、職務規約だけに依存した発明の譲渡の主張が難しくなります。

Read More »
商標
野口 剛史

色に関する商標に機能性が指摘され無効になる

トレードドレス(trade dress)の有効性を判断する際、Louboutinの機能性テストを適用し、商標で保護されている対象に機能性があるかを分析するべきです。トレードドレスは機能性があると判断された場合、商標の保護が受けられないので、トレードドレスが関わる訴訟における重要なポイントになります。

Read More »